内田を呼び戻した理由。求められる役割
ならば、チーム全体の構成を考えたときに、右サイドバックの補強は必然だった。それが鈴木常務取締役の言う「こっちの状況」に当たるが、特に内田の補強にはもうひとつの意図が込められている。
昨シーズンは勝てば無条件で優勝できた最後の2試合を、ともにスコアレスドローで終えて涙を飲んだ。黎明期から受け継がれてきた伝統でもある試合巧者ぶりを発揮できなかったピッチ上には、キャプテンのMF小笠原満男(38)の姿はなかった。
成績不振の責任を取って解任された石井正忠前監督(現大宮アルディージャ監督)に代わり、コーチから昇格した大岩剛監督(45)が指揮を執った6月以降で、ボランチのファーストチョイスはレオ・シルバ(32)と、ヴェルディから加入して2年目の三竿健斗(21)になった。
小笠原の出場機会は激減し、勝負どころの9月以降になると、リーグ戦の10試合すべてでベンチを温めたまま試合終了のホイッスルを聞いている。ゲームキャプテンは11年目のMF遠藤康(29)、あるいは7年目で日本代表にも定着したDF昌子源(25)が務めた。
選手起用は監督の専権事項ゆえに、鈴木常務取締役も口ははさまない。それでもシーズンの胸突き八丁で“らしさ”を失った原因をフロントとしても解明し、チーム力を低下させる恐れのある“芽”を摘み取って新シーズンに臨まなければいけない。
「(小笠原)満男が試合に出られる機会がだんだん減ってきているなかで、満男の次の世代で鹿島の伝統や、試合をコントールして、チーム全体を見ながらバランスを取るような役割を演じられることも含めて、そういう存在がまだ必要だというのも(内田)篤人を呼び戻した理由のひとつでもあるので」
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