敗れはしたが守備の改善は見られた
後半も川崎Fはボールを保持しながら活路を探るも、細かなミスによって前進するのに手間取ってしまう。家長昭博が左サイドから単独突破を試み、積極的に裏へ抜ける動きも見せたが、チャンスに繋がらない。それでも次第にリズムが生まれ出すと71分、縦パスを小林悠が落とし、これを大久保嘉人がラストパスを通すと、家長が左足を振り抜く。しかし、シュートはクロスバーの上を越えていった。直後、川崎Fは中村に代えて阿部浩之を投入した。
縦パスでスイッチを入れられるようになった川崎Fは、77分に阿部がシュートを放つなど着実にゴールに近づいた。89分にはカウンターから小林が右サイドに展開。阿部が折り返すと、走り込んだ大島が飛び込んだ。
最後まで1点を奪えずACL初戦を黒星で終えた川崎Fだが、数日前に噴出した守備面の課題には改善が見られた。
「今日はすごくみんな意識高く声を出し合いながらやっていた。コンパクトな守備、攻守の切り替えも前回(C大阪戦)から進展があったので、そこはこのまま継続していきたい」
小林がこう話せば、鬼木監督も「まず守備のところは本来の球際のところですとか、切り替えのところですとか、失ったらすぐにボールを回収する、そういう作業への意識は非常に高くやれていた」と称賛した。
自慢の攻撃は不発に終わったとはいえ、尻上がりに調子を上げていったことを忘れてはいけない。「作りのところはゼロックスから遥かにマシになっている」と中村は手応えを口にする。
「このグループをこのサッカーで突破していくという自信は、上海上港とやってまた掴めているところはある」
課題が全て解消できたわけではないが、今後の巻き返しには十分期待できるだろう。
(取材・文:青木務)
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