日本代表の積年の課題が解決? 本田にまつわる驚異のデータ
ベラクルスは5人のマーカーの他にストーン(特定のマークにつかず自分の周囲にきたボールを処理する役割)として2人の選手をニアポスト付近に立たせていたが、直前の長身選手たちの動き出しに引っ張られてしまう。その結果、中央寄りをケアしようとした手前にグティエレスが飛び込み、アクロバティックなヘッドでファーのサイドネットに決められた。
それまでもコーナーキックから2つのアシストを決めている本田は、ゴール前の動きを見ながらニア、センター、ファー、やや手前のスペースと蹴り分けているが、このシーンではうまくニアの選手に合わせた。
セットプレーの中でもコーナーキックは有効な得点パターンと考えられがちだが、統計的にコーナーキックが直接的にゴールにつながるのは2?3%という傾向もある通り、実はそれほど得点率の高いプレーではない。
しかし、後期の本田はコーナーキックを36回蹴って、3つのアシストを記録している。割合にして約8%。サンプルとしては短期間であっても驚異的な数字だ。その他にも味方のシュートがクロスバーに当たったシーンなど、プレースキッカーとしての本田はパチューカの大きな強みになっているわけだ。
ワールドカップでは試合環境や使用される公式球もおそらく異なり、味方と相手の体格差もメキシコとは違うなど、パチューカでのセットプレーでの得点力がそのまま日本代表に当てはめられるわけではない。だが、本田が流れの中でのプレーに加えてキックの自信とイメージを高めていけば、日本代表にとって数年来の課題だったセットプレーが強みにも変わりうる。
(文:河治良幸)
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