柏が意識する「60」の意味。スタイルに合致した新戦力も獲得
リーグ戦4位と天皇杯ベスト4。柏レイソルが昨季残したこの成績は、客観的に見れば上々の結果である。
しかし、前半戦の8連勝によって一時は首位に立ち、後半戦でも川崎フロンターレ、鹿島アントラーズを射程に捉えていたにもかかわらず、リーグ終盤のヴァンフォーレ甲府、北海道コンサドーレ札幌、大宮アルディージャとの3連戦では1分2敗と勝ち点を積み上げることができなかった。最終的にはタイトルはおろか自力でのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得もできなかったのである。
セレッソ大阪の天皇杯優勝によってプレーオフ出場の権利が舞い込んできたとはいえ、ACL出場を最大の目標に掲げていた柏にとっては、いくつかの課題を感じさせた2017年シーズンだった。
下平隆宏監督は、今季の目標として昨季同様に「勝ち点60」に加え、新たに「得点60」を掲げた。これは他の上位チームに比べて得点数が少なく、決定力の差が順位に反映されたという反省から挙がった数字だ。
したがって今季の新戦力も「得点60」を見定めて攻撃陣を中心にテコ入れを図った。大宮から江坂任と瀬川祐輔、アルビレックス新潟から山崎亮平、ペルーのデポルティボ・ムニシパルから澤昌克という顔ぶれを揃えた。彼ら4人は、いずれも攻撃的な特徴を持ちながらも、ゾーンの間でボールを引き出せるポジショニングの妙と、ダイレクトプレーを駆使して周囲の選手と関わっていく持ち味がある。
例えば、昨季までの柏にはディエゴ・オリヴェイラ、大津祐樹という強力なタレントがいたが、彼らはボールを持って前を向いた時には無類の力を発揮するも、ダイレクトタッチによる連動したコンビネーションで崩すタイプではなかったため、チームのスタイルにフィットしづらい側面があった。