酒井高徳が意識していた「ちゃんと戻れるポジション」をドルトムントは…
自陣にブロックを構築してカウンターを狙う、そういったシンプルな類の守備ではない。ボールを動かして攻める時に、直接攻撃に関与しない選手たちはボールを失うことを想定したポジションを取ることで、ロスト時には敵を網の目で絡め取るようにしてボールを奪い返す守備。
対戦相手のHSV所属の酒井高徳は、試合中に次のようなことを意識していたという。
「…そのカウンターを食らった時に、ちゃんと戻れるポジションにいるのかどうかっていうのも少し考えながら動いていたんで、うーん、さっき言ったみたいに試行錯誤して、どこが一番いいポジションなのかっていうのを、試合中に見つけられたらなって思うし…」
たとえば、酒井の話す「カウンターを食らった時に、ちゃんと戻れるポジションにいるのか」という位置取りを、BVBの選手たちは概ね実践できていた、と言えるだろう。ボールロストを想定せずに攻めるばかりでは、「カウンターを食らった時に、ちゃんと戻れるポジションにいる」ことはできない。それは取りも直さず、不用意にボールを失うことを避けることにもつながるだろう。
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