点取り屋としてのメンタル的な要素
一度決めた思いを最後まで貫く姿勢。厳しい指導で知られる小嶺監督に対して一歩も譲らない気の強さ。そして、あえて高く険しい壁に挑む不屈のチャレンジャー精神。点取り屋に求められるメンタル的な要素を、すでに身につけていると言っていい。
そして、恩師への感謝の思いを込めながら、「いつかは見返してやる」と誓いを立てて臨んだプロの世界で、18歳のストライカーは充実した日々を送っている。
「スピードや感覚的なものも含めて、もっともっと自分のレベルを上げていかなければいけない。いまは若いということもあり、先輩方のプレーを学ばせてもらい、挑戦できる位置づけにいるので、だからこそ思い切ってプレーさせていただいています」
175センチ、75キロとサイズこそやや小さめなものの、高校3年間で鍛えあげられたボディには、野性味あふれる無骨でタフなプレースタイルの源になるスタミナが搭載されている。杉本や柿谷ら、アカデミー出身でスマートな選手が多いセレッソで、余計に異彩を放ってもいる。
「オフというものがなかったですし、すべての時間をサッカーにつぎ込んで、努力を重ねて、毎日のように仲間たちとボールを追いかけた日々は自分の財産であり、絶対に忘れないと思います」
濃厚な3年間を振り返る安藤の表情に、ちょっとだけ苦笑いが加わったのは、小嶺監督から課され続けた過酷なトレーニングの一端を明かしてくれたときだった。あらためて振り返れば、すべてがプロの舞台で戦ういま現在の自分の血肉になっている。
「試合が終わって、学校に帰ってきてからも走らされましたからね。5キロくらいの重さのメディシンボールを抱えて、ダッシュを繰り返すだけなら『今日はラッキー』と思ったくらいですから。グラウンドの周り、だいたい1キロあるんですけど、それを走るのがかなりきつかった。
1キロを3分30秒で、と定められて、それを8周くらい普通に走らされましたから。なので、試合後に帰るバスのなかでは、基本的に心の準備というか覚悟を決めていました。試合の結果だけでなく内容もそんなに悪くなくても、小嶺先生は普通に『はい、走れ』と言うので」