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Jリーグ 7年前

「小嶺先生を見返してやる」。C大阪に加入、高校No.1ストライカー・安藤瑞季の誓い

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「プロの世界は非常に厳しい。成功しなかったやつも大勢いる」

長崎総合科学大学附属高校の小嶺監督
長崎総合科学大学附属高校の小嶺監督【写真:Getty Images】

 以来、小嶺監督と安藤の思いは平行線をたどる。72歳の名将と孫ほどに年の離れたエースストライカーが、お互いに主義主張を譲らない。早朝練習を終えたあるときには、全選手を集めたミーティングで小嶺監督がこんな訓示を垂れたことがあった。

「プロの世界は非常に厳しい。成功しなかったやつも大勢いる」

 チーム全体に発信しているようで、その実は自分だけに向けて言っているんだと安藤は感じずにはいられなかった。反骨心に近い思いが、余計に燃えさかってきた。

「けっこう遠回しに言われたんですけど、そのたびにむしろ練習の段階からもっといいパフォーマンスを見せようと思いました。プロで通用しないと言われれば言われるほど、絶対に通用するところを見せたいと。その意味でも、絶対に小嶺先生を見返してやりたいんです」

 小嶺監督も決して頭越しに「ダメだ」とは言わない。卒業後も続いていく長い人生を考慮しているからこそ、諭すような口調で「まだ通用しない」と繰り返し説いた。それでもプロ入りへの思いを曲げない安藤を前にして、指揮官のほうが先に折れていった。

 準々決勝で国見、準決勝では島原商業とかつて小嶺監督が率いた強豪校をくだし、決勝では延長戦の末に長崎日大を撃破。2年連続5度目の全国高校サッカー選手権大会出場を決めた、昨年11月12日の長崎県大会決勝のちょっと前だったと安藤は記憶している。

「小嶺先生から『そうか、わかった』と急に言われました。最後の最後に、小嶺先生に何とか勝ったという感じですね。厳しい世界であることはもちろんわかっていますけど、だからこそ自分は挑戦するしかない。いまはセレッソでやってやる、という気持ちしかありません」

 FC東京、V・ファーレン長崎、ベガルタ仙台を含めて練習に参加したなかで、攻撃陣のレベルが最も高く、層も厚いセレッソを自らの希望で選んだ。発表されたのは選手権の初戦を直前に控えた昨年末。小嶺監督と意見を食い違いさせてから、実に4ヶ月半近くの時間が経過していた。

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