アフリカを訪問した本田。6ヶ月後にはチャリティを開始
「あれ、アジア人がいるぞ」。ジンバブエ国内を移動する機上で、澤木俊は坂本周造を発見して声をかけた。現在、株式会社じげんに所属する澤木は前職時代、アフリカでの自動車販売ビジネスを手がけていた。アフリカ、しかも財政破綻したジンバブエにいる日本人は極めて珍しい。「何をしているんだろう?」、単純な興味本位で声をかけた。
坂本はサッカーコーチ。後にサッカースクール「SOLTILO FAMILIA SOCCER SCHOOL(以下、ソルティーロ)」のコーチとなる坂本はその時、青年海外協力隊(JICA)の一員としてジンバブエに来ていた。澤木との出会いはまったくの偶然。この奇跡的な出会いがなければ、壮大なプロジェクトは始動しなかったかもしれない。
2017年6月、本田圭佑はウガンダを訪問していた。難民向けのサッカークリニックを開催するためだ。同国には約100万人の難民がおり、孤児など恵まれない家庭の子どもも多い。数年前からアフリカでのプロジェクトを温めていた本田は、同地でサッカークラブやスクールの運営を構想していた。ウガンダ訪問からわずか3ヶ月後に現地クラブの運営を発表すると、さらにその3ヶ月後には新たなプロジェクトも始まった。
本田がプロデュースするサッカースクール「ソルティーロ」は2017年12月にアフリカでチャリティープロジェクト「AFRICA DREAM SOCCER TOUR supported by Car-Tana.com」を開始。本田の思いを受け継いだコーチたちがルワンダ、ケニア、ウガンダの難民や恵まれない家庭の子どもたち向けに無料でサッカースクールを行う。週2回の頻度で最低でも2年間は継続。約2000人に指導する予定だという。
支援企業も見つかった。前述した「じげん」もその1つ。だが、利益を上げることが目的ではない。一方で、単なる「支援」でもない。無料でサッカーを教えるが、恵まれない子ども相手とはいえ用具をタダで提供したり、金銭を渡したりすることはない。その根底にある思いとは何か。