開幕前に得られた収穫。完敗から見すえる進化の予兆
昨シーズンから継続させるチャレンジを、さらにグレードアップさせて臨もうとしている今シーズン。結果的には完敗だったレイソル戦では、ポジティブな収穫もあった。
レイソルでもセンターバックを組み、2011シーズンのJ1制覇を支えた32歳の増嶋竜也の豊富な経験は、リーグで9番目に多かった58失点を改善させるはずだ。サンフレッチェ広島から期限付き移籍で加入した、MF茶島雄介のテクニックと豊富な運動量は、中央からの攻撃にも厚みをもたせる。
何よりもハイラインの背後に広がる広大なエリアをカバーするうえで、指揮官の母国の名門インデペンディエンテやロサリオ・セントラルで活躍した実績をもち、足元の技術にも非常に長けた11番目のフィールドプレーヤー、守護神ロドリゲスの加入に伴う波及効果は大きい。
レイソル戦で利き足の左足から正確なロングキックが繰り出されるたびに、フクダ電子アリーナのゴール裏を埋めたファンやサポーターからあがったどよめきは、もちろん近藤の耳にも届いていた。
「彼の強みはそこだと思うし、監督も昨シーズンはバックパスをけっこう制限していましたけど、今シーズンは積極的にキーパーを使っていいとなっているので」
敵地で東京ヴェルディと対峙する、25日のJ2開幕戦が目前に迫ってきた。「修正点がないままいってしまうのは、逆によくないと思うので」と完敗にも前を見すえた近藤の脳裏には、10年ぶりのJ1復帰へ向けて、レイソル戦で見せた前半の戦いを順次延ばしていく青写真がはっきりと描かれている。
(取材・文:藤江直人)
(インタビュー全文は『フットボール批評issue19』にてお楽しみください)
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