自身に課すのは目に見える結果
「時間が経つにつれてちょっとずつ慣れてきたというか、距離感も良くなってきて、すごくプレーしやすかった。相手も見えるようになってきたので、そこはプラスに考えていいのかなと」
小泉は、試合の中で少しずつチームにアジャストしていった。ボールへの寄せや執着心、優れた危機察知能力と活動量が可能にする広範囲へのカバーリングなど、前半から『らしさ』は見せていた。後半はさらにダイナミックにピッチを駆け、そして丁寧なボール捌きも見られるようになった。
55分の場面は、「相手も見えるようになってきた」という言葉を裏付けるものだろう。自陣でパスを引き出すと、チェックに来た相手の逆を取って反転し、縦にパスをつける。クリスティアーノのスルーパスに抜け出したハモン・ロペスはオフサイドとなったが、小泉を起点にチャンスが生まれかけた。
ボールを受けてもどこか窮屈そうな前半と比べ、一つひとつのプレーが格段にスムーズになった。「タニくんが本当に気を遣ってくれて、僕は自由にプレーできた」と、小泉は大谷に感謝を口にしている。キャプテンが中央でどっしりと構え、背番号8がアグレッシブにプレーする。その関係性はチームに流れを呼び込む一因となった。大谷の重要性は言わずもがなだが、柏の象徴と組んだ新加入ボランチのプレー精度も向上した。そんな小泉は、『結果』へのこだわりを見せている。
「今日はアシストやゴールという目に見える結果を出せなかった。やっぱりチームのプラスなる働き、目に見える結果というのも今後、自分の目標にしてやっていきたい。もっともっと怖い選手になっていかないといけない。2列目、3列目からの飛び出しは、したたかに。隙があったら狙っていけるポジションだと思うので」
実際、何度か敵陣へのランニングを敢行している。決定機には結びつかなかったが、意欲的な姿勢を迷いなく打ち出せたのは収穫だろう。