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原口元気も離脱。危険な「脳振とう」、どうケアすべきか? 重度の障害招く恐れ

サッカーは接触プレーの多いスポーツだ。時に頭をぶつけ脳振とうになることもある。選手によってはすぐに立ち上がりプレー再開できそうに見えるケースもあるが、それは極めて危険だという。重度の障害につながる可能性も秘めている脳振とう。どのようにケアし、どのように回復すべきなのか。専門家に聞いた。(取材・文:山下祐司)

text by 山下祐司 photo by Getty Images,Yuji Yamashita

脳振とうの危険性。認知症やパーキンソン病につながる可能性も

原口元気
ドイツ2部のデュッセルドルフでプレーしている原口元気【写真:Getty Images】

 現地時間2日、ドイツでプレーする原口元気が相手選手との競り合いで頭部を強打。交代を余儀なくされた。診断の結果は「脳振とう」。数日間入院し、当面は練習参加も見合わせるという。

 脳振とうに関しては、サッカー界全体で具体的な対策を取り始めている。2014年9月、FIFAは試合中の脳振とう対策に3分間ルールの導入を発表。FIFAの決定を受けて、日本でも2016年から代表戦とJリーグでこのルールを導入している。

 脳神経外科が専門で脳振とうなどの頭部外傷に詳しい東京慈恵会医科大学・大橋洋輝講師は「スポーツで脳振とうの危険性が知られるようになったのはここ数年のこと。選手の将来を考えると、対策にしっかり取り組む必要がある」と警笛を鳴らす。

 脳が揺さぶられて起こる脳振とうは、衝撃を受けた直後にめまいやふらつき、意識がもうろうとする状態をイメージし、少しの休息で回復したらプレーを再開となりそうだが、それは完全な間違いだという。

「見かけ上は普通に見えても、プレーを続行するとケガの確率がいっそう高くなる。脳内で出血が起きている可能性もあり、症状が遅れて出て記憶障害が10日~2週間ほど残ることもある」

 近年、世界中で脳振とうの関心が高まっているのは、繰り返しの危険性が明らかになりつつあるからだ。一度、脳振とうが起こっても、長くとも10日ほどで回復するケースがほとんど。しかし、脳振とうを繰りかえすとダメージが蓄積し、結果的に脳が萎縮すると考えられている。「これを慢性外傷性脳損傷と言い、長期的にみると認知機能障害や記憶障害など認知症やパーキンソン病と似たような症状があらわれる」と大橋医師は説明する。

 FIFAが導入を決めた3分間ルールとは、脳振とうが疑われる選手をケアするために審判が一時的に試合を止め、チームドクターに診断のために最大3分間を与えるルールだ。チームドクターの許可が降りたときにだけ、審判は選手のプレー続行を容認できる。3分間だけだが、これまでのように脳振とうの疑いがある選手だけがフィールドから出て、対戦チームの選手が1人多く有利になることはなくなった。

 3分間ルール導入の1つのきっかけとなったアクシデントがある。2014年ブラジルW杯決勝戦だ。

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