話をまとめた協力代理人
加えてガラタサライには、左サイドバックを熱望しているというチーム事情があった。現在チームに所属する本職の左サイドバックは、ルーマニア代表DFヤスミン・ラトフレビチのみ。しかしその彼も不安定で、ファンや地元メディアは「事実上このポジションには適任者がいないようなもの」と批判していた。
ガラタサライは昨年の夏に、ユベントスからクワドゥ・アサモアの獲得に動き、選手からも合意を取り付けている。しかし後釜が見つからないことを理由にユーベが拒否。トルコの地元紙の報道では、少なくともユーベとの契約が切れる18年6月以降に来る確約は取り付けているとのことだが、半年早めて1月に連れて来ることもまた不可能だった。
そのアサモアの代理人というのが、実は協力代理人であるパストレッロ氏だったのだ。アサモア獲得交渉にあたってクラブとの間にパイプを築いていた同氏は、長友の移籍話が出るや交渉の仲介役としてすぐに話をまとめた。
長友からオファーの承諾が出ると、30日に先にイスタンブールへ飛んで段取りを整え、翌日には長友を呼んでメディカルチェック。そのままサインまでスムーズにことがまとまった。
長友がガラタサライに移籍することは、インテルにとっても経営上のメリットがあった。長友の年俸分を節約できるのみならず、70万ユーロのレンタル料収入が入って来るからである。
中国の家電小売業、ならびに通信販売で財を築いた蘇寧グループの資本下に入ったものの、中国政府から海外への投資をストップする通達が出たため、UEFAファイナンシャル・フェアプレー制の監視下にあるインテルは赤字を抑える経営努力をしなければならなくなっている。
もっとも今冬には、選手の放出で移籍金収入を得ることも失敗。長友をはじめとした選手の放出は、さしあたりレンタル移籍だ。ピエロ・アウジリオSDは「年俸分を抑え、レンタル料を得たという点についても良かった」と地元メディアに語ったが、地元紙コリエレ・デッラ・セーラからは「はした金だ」と批判されていた。