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不当なネイマール報道への違和感。根源にはフランスメディアの自虐観? 憶測が招く悪循環

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

4得点2アシストの大活躍なのにブーイング?

パリ・サンジェルマンのFWエディンソン・カバーニ。PKキッカーを巡ってネイマールと不仲になったとの報道もあった
パリ・サンジェルマンのFWエディンソン・カバーニ。PKキッカーを巡ってネイマールと不仲になったとの報道もあった【写真:Getty Images】

 つい先日も、1月17日に行われた第21節のディジョン戦で4ゴール2アシストという大活躍で8-0の大勝に寄与したにもかかわらず、サポーターからブーイングされたことが世界中のメディアで話題になった。

 もうお聞き及びの方が多いと思うが、顛末を簡単に記す。

 この試合では、FWエディンソン・カバーニが、ズラタン・イブラヒモビッチがそれまで持っていたPSGの歴代最多ゴール記録(156ゴール)を更新して、新記録を達成する可能性があった。

 カバーニは前半21分にディ・マリアの右サイドからのクロスにヘッドで合わせて、まずは156ゴールめとなるタイ記録を達成した。

 しかしその後試合は『ザ・ネイマールショー』に。ブラジル人FWは42分にFKから直接ゴールを射抜いたのを皮切りに、あれよあれよと得点を重ねて、PSG入りして初のハットトリックを実現。さらにはキリアン・ムバッペのシュートもお膳立てして、7-0と相手をメッタ打ちにしたのちの83分、ゴール前まで切り込んだカバーニが倒されて、PSGはPKのチャンスを得た。

 もしこれをカバーニが決めれば、その場で新記録達成となるところ。が、蹴ったのはネイマール。そして彼はこの試合4点めを決めた。スタジアムからブーイングが飛んだとされているのはこの後だ。

 カバーニの新記録達成! を目撃したかったスタンドのファンはカバーニの名前を連呼した(のでネイマールへのブーイングもあったかもしれないが、実際にはカバーニ・コールも大きかった)。

 しかしストーリー的には、『カバーニの新記録達成を阻んだネイマールの行為にファンがブーイング』となったというわけだ。4得点2アシストの大活躍なのにブーイングを浴びて、ネイマールも浮かない顔でロッカールームに引き上げた。

 PKを誰が蹴るかについてはメディアがさんざん煽ったあげくに、ウナイ・エメリ監督が「その時々での調子や試合の流れも考慮しつつ、基本は交代で蹴る」といった発言をして一応は落ち着いた。なので、このディジョン戦の日はネイマールが蹴る日だったかもしれない。

 ネイマールはおそらくカバーニの記録については知っていただろうが、興奮状態にある試合中は頭から消えていたことだってありうるし、ハットトリックに2アシストで本人も乗りに乗っていたこの試合、勢いのまま突っ走ったのだろう。逆にこの場面で冷静に、「カバーニは記録更新できるかも。だからハイ、どうぞ」なんて、このクラスのトッププレーヤーがやるのか?

 これをエゴ行為と非難するのはどうか? というのが個人的な感想だ。

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