オーストラリア代表としてブラジルワールドカップに出場したベン・ハロランが長崎へ移籍【写真:Getty Images】
ベン・ハロランという名前を聞いて、その経歴やプレースタイルがピンとくる人はほとんどいないだろう。
4年前のブラジルW杯にオーストラリア代表の10番として参戦したものの、先発出場は一度もなく、グループリーグ3試合ともにベンチスタートだった。その後は代表から遠ざかり、主戦場はドイツの2部リーグ。日本からハロランのプレーを見る機会はほとんどなかったと言っていい。
だが、プレーのクオリティは高い。新シーズンから初めてのJ1に挑戦するV・ファーレン長崎に加入し、躍進するクラブの大きなエネルギーになれるだけのポテンシャルを秘めている。
1992年生まれで25歳のハロランは、今はなきゴールドコースト・ユナイテッドの下部組織で育ち、同クラブのトップチームでプロデビューを果たした。その後に移籍したブリスベン・ロアーで評価を高めてドイツ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフに引き抜かれる。2015年夏からは同じくドイツ2部のハイデンハイムに籍を移し2シーズン半にわたって活躍していた。
ハロランの最も大きな武器は一瞬の加速力だ。目立つテクニックや、特別なスキルを持っているわけではないが、ドリブル中でも瞬間的にスピードを上げて対峙するDFを振り切りクロスに持ち込む一連の動きは非常にスムーズで、長崎でも攻撃のオプションになりうる。
両サイドに対応でき、自慢の加速力は右でも左でも生かされる。パンチ力のある右足のシュートも魅力で、左からカットインしてフィニッシュに持ち込む形や、セットプレーのこぼれ球をペナルティエリア手前で叩く形など、いくつかハロランなりのバリエーションを持っている。
懸念点はここ数年、1シーズン通した継続性を発揮できていないことか。主力に定着できず毎シーズン20試合前後、年間1000分間ほどのプレーにとどまっている。それでもゴールやアシストの数は多く、少ない出場時間の中で結果は残している。
長崎には長身で前線の基準点になれるスペイン人FWファンマがおり、アシスト能力の高いハロランとホットラインを築けるかもしれない。J1定着に向けてチームのエンジンになることができれば、ロシアW杯に向けてベルト・ファン・マルワイク新監督が就任したばかりのオーストラリア代表復帰も見えてくるか。
(データ提供:Wyscout)
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