「自分はマリノスで何も成し遂げていない」
福岡では自信を掴んだ。仲川は昨年7月以降、J2で18試合に出場してゴールはなかった。それでもJ1昇格プレーオフの準決勝と決勝でも先発出場し、昇格か残留かというシーズンで最も緊張感のある舞台での経験は何物にも代えがたい。
「福岡では18試合に出て、試合勘とか、いろいろな面を含めてすごくいい経験をさせてもらったし、プレーオフという決勝という緊張感、プレッシャーがある中で試合をできたことは自分にとってすごく良かったと思っています」
横浜FMはエリク・モンバエルツ監督からポステコグルー監督に替わり、新たなスタートを切る。「去年ずっと出ていた選手がいなくなったりして、チームもすごく若くなっていますし、自分もチャンスはあると思います。みんなフラットな状況だと思います」と仲川は分析し、チャンスだと捉えている。
「自分の良さをどんどんアピールしていくことが試合に絡むことにつながる思う。キャンプからしっかりアピールしていって、あとは1年間怪我をしない体づくりをキャンプからやっていきたい」
ポステコグルー監督はボールポゼッションを重視したスタイルで、これまで指揮してきたどのチームでも攻撃的なサッカーを展開してきた。仲川にとっても自分の持ち味を生かしやすい状況であり、「新しいチャレンジの中で自分の良さをどんどんアピールしていって」自分のことを何も知らない新監督から「フラットな」評価を得ればチャンスが広がってくるかもしれない。
川崎フロンターレの下部組織出身ながら、怪我をしていても契約し、チャンスを与え続けてくれたマリノスへの感謝の思いは強い。「自分がマリノスで何も成し遂げていない、十分なプレーをしていないというのが心残りだったので、他のチーム(へ移籍する選択肢)があったとしてもたぶんマリノスにしていたと思います」と、今季にかける覚悟は人一倍強い。
「マリノスも新監督の下、新しくなったので、そこに自分がひとつでも力になれるように精一杯頑張っていくこと。J1優勝という目標を掲げているので、そのためにしっかりキャンプから充実した日々を過ごしていきたいと思います」
プロ入り後も何度か負傷離脱しているが、もうその影響はないと仲川は強調する。2018年を完全復活、そして飛躍の1年とできるか。そのための心と体の準備は整っている。
(取材・文:舩木渉)
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