「自分の意向は何なのか我われに話して伝えるべきだと思う」
「あの監督の記者会見は長い」
ルチアーノ・スパレッティ監督がインテルに来てから、地元記者からこう言った愚痴を聴かされることが増えた。確かに長い。会見で記者から一言質問が飛べば、普通の監督と比べると3倍から4倍もの長さで返事をするのである。
しかし話は決して冗長ではなく、むしろ内容は面白い。独特の言い回しを用いて一見質問をはぐらかすようでありながら、本質に迫るようなことは案外ズバッと喋る。27日、SPAL戦の前日会見の場では、出場機会を減らし移籍報道がでた長友佑都について次のようなことを話していた。
「選手として成熟してきているのだから、自分の意向は何なのか我われに話して伝えるべきだと思う。私には、彼が出場機会が得られるところに移るべきかどうかを検討したがっているようにも感じられる。
だが残念ではあるが、私からは何も約束できない。私はあくまで練習の様子を見て、また対戦相手を考えた上で選手を選択する。私自身もインテルが終わった後には代表に挑戦したい。そのためには良い結果を出さなければならないから、そう考えて選手も選択するのだ」
ロシアW杯を控え、日本代表に選ばれるため出場機会を気にしている長友にかこつけ、代表監督への野望を述べたという格好にはなっている。しかし、本筋はそこではないだろう。
主張したかったのはおそらく、代表に選ばれる可能性があるなら選手としてそれを心配するのも当然ということと、ただ自分にも指揮官としての都合があるので、そんな選手の希望ばかりは聞いていられないということだ。