香川のスーパーボレーで幸先良くスタートも…
鮮烈なボレーを叩き込んだ。10分、混戦から目の前にこぼれてきたボール。ファーで構えていた背番号23は、体を宙に捻らせ、右足で強烈な一撃をネットに突き刺した。
「うまく、こぼれてきたので、ふかさないようにしました」
後半戦が始まって2試合連続で勝ち切れず、「流れ」に乗り切れないチームを、ようやく上向かせるような先制弾。
だが、試合後の香川真司の表情は、どこか浮かなかった。
「良い入りをしたと思いますし、右からうまく攻め込んでいたので。その中で先制点を取って、ちょっとやはり気が抜けたところは雰囲気的に感じたし。ただフライブルクというところが、ちょっと80%で(点を)取れちゃう部分もある中で、そのリズムでやっちゃったのかなと。そこをもう1つギアを上げた守備だったり、チームとして戦うことをやらなきゃいけない中で、失点シーンもそうですけど、少しルーズなプレッシングと(ボール)ロストがあったのかなと思います」
上向いたのはうわべだけだった。先制に成功して「ちょっと気が抜けた」ボルシア・ドルトムント。少しずつリズムをつかんできたその矢先、21分、簡単に右サイドにボールを運ばれる。ヤニク・ハーベラーの折り返しを、ニアでニルス・ペーターセンにダイレクトで決められ、同点に追い付かれる。
スタメンには戻って来たが覇気のないエースFWを筆頭に、相手がボールを持った時のBVBの守備は曖昧だった。機能しないファーストDFとしてのワントップと、それに続く「少しルーズなプレッシング」。ペーター・シュテーガーが監督に就任して、取り戻したはずの守備の基本原則――再び失われていた。