偽SBの機能性
グアルディオラ監督はマンチェスター・シティでも偽SBを使っている。現在はファビアン・デルフがアラバ・ロールをこなしているが、昨季はあまり上手く機能していなかった。デルフもアラバ同様にMFが本職。ポジショニングだけでなく誰がやるかによって成否が決まる。
SBがタッチライン際に開かず、中央寄りにポジションをとるのはペップの発明ではない。ある意味、どのチームのSBもやっていたことだった。タッチライン際に開いてパスを受けたとして、正面に相手選手がいればボールを受けても何もできない。相手の線路の上に立っていたら轢かれてしまう。
片側はピッチ外なのでパスコースはなく、斜め前しかコースがないが、敵は当然狙ってくるからCBに下げるかGKに下げることになってしまう。だから対面の敵の正面には立たず、つまり内側にポジショニングしておくのは、どのSBでも普通にやっているプレーだった。
ペップのバイエルンではCBの間にアンカーが下り、アンカーのポジションにインサイドハーフが下りる動きをアラバ・ロールと組み合わせた3点移動を行っていた。
だが、これも個々のポジショニングは従来あったもの。3つのポジションチェンジを組み合わせたのが画期的で、これはバイエルンに強力なウイングがいたからだ。SBが中央へ移動することでウイングへのパスコースが空く。最終的に「人」を生かす発想があった。
ちなみにウイングがいなければ偽SBは使ってもあまり意味がない。ウイングが外に張らないチームの場合、CBから斜めのパスを受けるためのポジションをとるのはインサイドハーフである。そしてSBは高い位置でウイングになるわけだ。
例えば、レアル・マドリ―でアラバのポジションをとるのはトニ・クロースであり、ウイング化するのはSBマルセロになっている。SBがボランチ化するかウイング化するかは、全体の構成にも左右される。