穴はなく、特別な才能まで持っているかのよう
デレ・アリ、クリスティアン・エリクセン、ソン・フンミンなどもポチェッティーノの指導によって才能が開花し、彼らの運動量、スピード、状況判断、基本スキルの高さなどもケインが得点を量産できる理由に挙げられるが、このストライカーには穴がない。
左右両足、ヘディング、ボックス内、ミドルと多彩なパターンを持ち、プレミアリーグ特有の激しいショルダーチャージを跳ね返す体幹の強さも装備している。
しかもシュートの精度が非常に高い。力任せにたたくわけではなく、GKが届かないところ、DFのカバーが間に合わないところを瞬時に察知する予知能力に近い特別な才能まで持っているかのようだ。
さらに第一ディフェンダーのタスク、スペースメイキングにも怠りなく、1試合平均の走行距離はおよそ10kmにも及ぶ。ポチェッティーノが提唱するハイラン・ハイプレスに必要不可欠の存在だ。
「爆発的なスピードに欠ける」というマーティン・キーオン(元アーセナル)の指摘は、彼の現役さながら的外れ。ちゃんちゃらおかしい。おかしすぎる。
24節終了時点で21ゴール。モハメド・サラーに3点差、セルヒオ・アグエロに5点差をつけ、2シーズン連続の得点王も現実味を帯びてきた。ケガさえしなければ、30ゴール以上という大きな数字での戴冠も十分に可能だ。
長きにわたってアーセナルのエースに君臨し、プレミアリーグ史上にその名を残すティエリ・アンリも、怨敵スパーズのエースストライカーを絶賛している。
「ゴールスコアラーとして、ありとあらゆる才能に恵まれている。ただひとつのマイナス点は、スパーズの選手だってことさ」
(文:粕谷秀樹)
【了】