主力以外にも多彩なタレント揃う。智将の采配にも注目
ノルマ:ベスト8
目標:優勝
欧州王者として優勝の期待が高まるが、ポルトガルにとってワールドカップでのこれまでの最高成績は1966年イングランド大会の3位だった。過去4大会では2006年のドイツ大会でベスト4、2010年の南アフリカ大会でベスト16に進出したものの、2002年の日韓W杯と前回の2014年のブラジル大会はグループリーグで敗退している。
ロシアワールドカップでのグループリーグ突破は当然として、決勝トーナメント1回戦ではブラジルやドイツといった優勝候補と当たらないため、そこは最低でも突破したい。目標は優勝だが、ベスト8やベスト4で敗退した場合に国民がどういった反応を示すかは敗れた相手や内容によるかもしれない。
上位進出は前述の通りC・ロナウドとA・シウバの2トップにチャンスメイクで大きな役割を果たすB・シウバのパフォーマンスにかかるが、もう1つ注目したいのがF・サントスの手腕だ。基本的には中盤で丁寧にボールをつないでチャンスを作るが、対戦相手との関係や時間帯に応じて、引いたところでボールを奪い、ロングカウンターで仕留めるといった戦い方もでき、リードして終盤を迎えれば点を取られない戦い方に徹することもできる。
4年前にはグループリーグの日本戦では早い時間帯で10人になりながらスコアレスドローで終え、ギリシャ代表をベスト16に導いた指揮官でもある。緻密な戦略と、勝つために現実的な選択も主力の選手たちに受け入れさせる説得力が“無冠の強国”だったポルトガルに“勝つ文化”をもたらしたといっても過言ではない。
ポルトガルにはレギュラー陣の他にも多士済々のタレントが揃う。右サイドのスペシャリストであるジェウソン・マルティンス(スポルティングCP)やベテランながら打開力とアシスト力は健在のリカルド・クアレスマ(ベシクタシュ)を起用すればサイドアタックの質が高まる。
またEURO2016の準決勝でウィリアム・カルバーリョの不在を補ってあまりある活躍を見せた大型MFのダニーロ・ペレイラ(ポルト)は中盤の強度を高め、相手のトップ下を封じるのに持ってこいだ。2列目からの崩しの起点を増やすならアンドレ・ゴメス(バルセロナ)が適任。J・マリオやJ・モウチーニョともまた違うリズムでバリエーションをもたらすだろう。
(文:河治良幸)
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