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プレミア、“殺人的”日程問題のジレンマ。疲労蓄積の弊害、天秤にかけられる収入

text by 山中忍 photo by Getty Images

“年末年始興行”は露出度アップに寄与

過密日程に苦言を呈したジョゼップ・グアルディオラ監督
過密日程に苦言を呈したジョゼップ・グアルディオラ監督【写真:Getty Images】

 実際、普段から高いリーグ戦での観客入場率も、現時点で数字が確認できる昨季を例にとれば、英国では祝日に当たるクリスマス翌日には98.7%、翌日が仕事初めになる元日も97%と、通常の試合開催日を2%前後上回る数字を記録している。

 露出度アップをも意味する“年末年始興行”は、リーグと各クラブへのスポンサー契約料の規模にも影響を及ぼしているに違いない。同時に、国民がイングランド伝統の過密日程時期を今でも好んでいる証拠でもある。

 その国内の現場を預かる監督たちが危惧する選手の体を本当に気遣うのであれば、クラブ側が収益の増加よりも資産である選手の管理を重視する妥協姿勢を示すことで、年末年始の「過労」を防ぐ具体的な策をリーグと協議するしかないのではないか?

 個人の栄養摂取からピッチのコンディションまで、就労環境は昔と比べて格段に改善されているはずのプレミアでありながら、「選手寿命が伸びているわけではない」という、ゴードン・テイラーPFA(プロ選手協会)会長の寂しい発言もある。

 しかしながら、1月も後半に入ったイングランドは、プレミア勢が冬の移籍市場での補強画策に精を出している真っ最中。選手の健康問題は棚上げされている状態だ。

 再フォーカスのきっかけは、疲れが抜けず、故障まで抱えて大会に臨むイングランド代表が、またしても不甲斐ない結果に終わった場合のW杯ロシア大会後だろうか?

 プレミア勢の故障者リストには、24節終了時点で計10人近い母国代表メンバー候補が名を連ねている……。

(文:山中忍【イングランド】)

【了】

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