就任7年目で初めての決断。曹監督の思惑は?
湘南ベルマーレを率いて7年目。今シーズンのJ1を戦う18チームのなかでは最長、J3までを含めた全体では松本山雅FCの反町康治監督と並ぶ長期政権の指揮を執っている曹貴裁監督が、指導者人生のなかで初めてとなるチャレンジに取り組んでいる。
例年ならシーズンへ向けた初練習を前にしたミーティングで、キャプテンと副キャプテンを指名してきた。昨シーズンを振り返ればキャプテンは前年に引き続きFW高山薫が、補佐する副キャプテンにはGK秋元陽太、DFアンドレ・バイア、MF菊地俊介がそれぞれ就いた。
2年ぶりにJ1の舞台に復帰する今シーズンは一転して、スペイン・マラガでのキャンプに入っている段階で誰も大役を告げられていない。始動日となった今月11日。練習前に行った約1時間のミーティングは、チームとして目指す方向性を全員で共有して終わった。
「自分もまったく話を聞いていないので。ちょっとわからないです」
初日からボールを使った、強度の高い約1時間の練習を終えた高山もキャプテンの件に関しては苦笑いするしかなかった。曹監督は「自分がやるものだと思っていたのかな」と苦笑いを浮かべながら、例年とは180度異なるアプローチを取っている理由を明かす。
「選手たちもなぜかな、と思ったはずですけど、今年はあえて言いませんでした。キャプテンを中心にして、というよりも全員がキャプテンになったように。キャプテンがまとめる、キャプテンについていくという図式が、今シーズンに限ってはあまりいいとは思っていないので。
たとえば(高山)薫はチームにとって重要な選手であることは間違いないし、だからこそキャプテンだろうが副キャプテンだろうが、アイツがやらなきゃいけないことは変わらない。毎年同じことをやっていると伝わるよりは、生き生き感というものが全体に出ればいいなと」。