熟考を重ねたうえで踏み切った京都との契約更新
2017年11月19日のJ2最終節。京都サンガは1万5000人超の大観衆が詰めかけた松本・アルウィンで松本山雅に挑んでいた。J1昇格プレーオフ進出の可能性を残す相手に対し、京都は本多勇喜が首尾よく1点を先制。リードしたまま試合終盤を迎えた。
そんななか後半23分、背番号4をつける男・田中マルクス闘莉王が布部陽功監督に呼ばれ、大野耀平と交代。FWとしてピッチに立った。185cm・85kgの恵まれた体躯を誇る36歳のベテランは立っているだけで絶大な存在感を感じさせる。
対峙する飯田真輝も彼のマークには苦慮した。「自分が入って2~3回チャンスがあった」と闘莉王本人が言うように、前がかりになる相手の裏を突き、京都は追加点を奪おうとしたが、惜しくもネットは揺らせない。
それでも1-0のままタイムアップの瞬間を迎えることに成功。彼らは最終戦白星でJ2・12位でシーズンを終えた。
「こういう結果になってサポーターにはホントに申し訳ない。自分も含めてもっともっとタフなチームになんなきゃいけなかった。自分もいろんなケガとの戦いでやってきて、最後の何分かピッチに立てたのはよかったし、こういうタフな試合をモノにできたのは今後、若いやつらのサッカー人生においてプラスになると思います」と彼は試合後、シーズンラストマッチでの反省と収穫の両方を口にした。
去就については「来季のことはまだ考えてない。明日のことを考えられる人間じゃないんで。とりあえず整理がついたところで考えたい」と話し、現役続行と引退の狭間で揺れ動いていることを明らかにした。
それから1ヶ月半後の1月10日。闘莉王は熟考を重ねたうえで京都との契約更新に踏み切った。すでに母国・ブラジルから戻って新シーズンに向けて始動している。「やり出したらまたどうなるか分からない」と昨季苦しんだケガへの不安も抱えつつ、彼は限界までチャレンジしていく覚悟だという。