四冠制覇を堂々と公言できるほどの攻撃陣に
昨シーズンの主力が全員残留したフロンターレにおいて、ポジションは約束されていない。それでも「全部のタイトルを狙うのであれば、それぐらいのメンバーがいないと難しいと思う」と気にする素振りもない大久保は、個人的な目標としてJ1通算200ゴールをあげた。
「あと21点なのでね。今年中にいければいいかな。日本で誰でも達成していないからね。やっぱり歴史に名前を刻んでいきたいとずっと思っていたので」
昨年9月に右ひざの前十字じん帯を損傷。全治まで8ヶ月と宣告されている齋藤は綾町でのキャンプには参加せず、独自にリハビリを続けてきた。ここにきて、早期復帰へ視界が良好になったと笑顔を浮かべる。
「普通ではないペースでリハビリを進めているけど、そこはメディカルチームとの話もある。ただ、8ヶ月もかけようとは思っていない。サッカー選手である以上は、タイミングとしては(ワールドカップ代表への)可能性を残せるくらいの時期に復帰しようと思っている」
それでも懸命なリハビリの積み重ねで、早くもボールを使ったトレーニングを開始。23日には全体練習に合流し、27日から沖縄県内で始まる第2次キャンプにも参加する。
一転して追われる者となったフロンターレにとって、現状では存在しない代表クラスのドリブラーが攻撃陣に加われば、新たな武器が搭載される分だけ相手に与える脅威が増す。
昨シーズンでリーグ最多の71ゴールをあげた攻撃陣が、さらに化学反応を起こしてバージョンアップすれば、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)を含めた四冠制覇を堂々と公言できる。
「誰がAチームで、誰がBチームではなく、どの試合でも全員がAチームでいけるように。そこで出番が訪れたときに、チームに貢献していければ」
齋藤を含めたチーム全員の熱い思いを、大久保が代弁した。批判は甘んじて受けるとばかりに、日本代表を経験した彼らが抱いてきた覚悟と決意が、新生フロンターレの最大の武器となる。
(取材・文:藤江直人)
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