多士済々の中盤
【メキシコ代表】
FIFAランキング:16位(2017年12月)
監督: フアン・カルロス・オソリオ(2015年~)
7大会連続16回目の出場
最高成績:ベスト8(1970年メキシコ大会、1986年メキシコ大会)
北中米・カリブ海最終予選1位通過
自国開催だった70年大会と86年大会にベスト8を経験しているが、94年のアメリカW杯から6大会連続でベスト16。つまりベスト8の壁に阻まれてきたのだ。
10年の南アフリカW杯では相手選手の明らかなオフサイドが見逃されて失点するなど不運はあった。前回のブラジル大会でも最終的に3位となるオランダと大接戦を演じたが、アリエン・ロッベンの疑惑のPKに涙を飲んだ。そうした理不尽な要素がしばしば明暗を分けるのがW杯ではあるが、6大会連続となるとさすがに明確な課題があると考えるべきだ。
1つは決勝トーナメントでさらに上を狙うにはワールドクラスのタレントが欠けていること。もう1つは強豪との接戦で勝ち切る強さだ。ただ、今回はその両方でこれまでより期待できるメンバーが揃いつつある。メキシコリーグを基盤に起きながら、主力のほとんどが欧州の第一線でプレーする選手たち。しかも若手、中堅、ベテランがバランスよく配置されている。
前回大会でチームを率いたエレーラ前監督は15年ゴールドカップで優勝した直後に彼の采配を批判した記者に暴行を働いたとして解任されたが、15年10月から率いるコロンビア人のフアン・カルロス・オソリオ監督が個性派の集団を組織としてまとめ、前回は大陸間プレーオフに回った北中米・カリブ海最終予選で首位突破を果たした。
すでに突破を決めていた最終戦でホンジュラス相手に2-3と敗れたものの、そこまでの9試合で6勝3分。特にディフェンスの安定感が目立ち、失点は4だった。前回大会のオランダ戦で大活躍した守護神ギジェルモ・オチョア(スタンダール・リエージュ)が後ろから支える最終ラインは、過去2大会を経験しているエクトル・モレーノ(ローマ)を中心に高い機能性を誇る。
中盤は主にDF出身ながら攻守のバランス感覚に優れた大型MFのディエゴ・レジェス(ポルト)、百戦錬磨のアンドレス・グアルダード(ベティス)、献身的なハードワークと正確なパスを併せ持つエクトル・エレーラ(ポルト)と列強にも対抗できる3人を主力として、バルセロナでスキルと戦術観を磨いたジョナタン・ドス・サントス(LAギャラクシー)など多士済々の駒が出番に備える。
ここ数年“チチャリート”ことハビエル・エルナンデス(ウェストハム)に頼りがちだった前線にもオランダリーグで得点を量産するイルビング・ロサーノ(PSV)というワールドクラスのポテンシャルを持つアタッカーが台頭。前回大会はコンディションの不安で辞退したカルロス・ベラ(レアル・ソシエダ)、ドリブル突破力に優れるヘスス・コロナ(ポルト)など充実。もちろん抜け目ないゴールの嗅覚を持つオリベ・ペラルタ(クラブ・アメリカ)、抜群のテクニックを誇るジオバニ・ドス・サントス(LAギャラクシー)、パワー型の長身FWラウル・ヒメネス(ベンフィカ)も健在だ。