最大の懸念は経験不足。初の決勝トーナメントを目指して
ノルマ:1勝
目標:ベスト16
FIFAランクは27位だがチームも選手もアフリカの外での国際経験が少ない。過去2大会で予選敗退に終わっているためにW杯本大会の経験者もおらず、現時点で大きな期待は禁物だ。しかも、グループリーグ初戦がイングランド、2試合目がベルギーとなり、より実力の接近したパナマとの3戦目を迎える時にはすでにグループリーグ敗退が決まっていても不思議ではない。
しかし、W杯は蓋を開けてみなければ分からない大会でもある。マールール監督が半年間で3ヶ国をしっかりと分析して対策を立て、アフリカ随一とも評価できるチームワークを選手たちが発揮したなら、イングランドかベルギー相手に一泡吹かせ、パナマに勝利してベスト16進出というシナリオが現実になるかもしれない。
そのためにはベースとなるアフリカ予選からの主力選手たちが奮闘するだけでなく、大会の“ラッキーボーイ”の出現が必要になる。その候補の1人が20歳の攻撃的MFバセム・スラルフィ(ニース/フランス)だ。柔らかいボールタッチと切れ味鋭い仕掛け、意外性のあるラストパスなど高いポテンシャルを秘めたヤングタレントが大ブレイクを果たせば、一気にチームは波に乗るだろう。
ジョーカーとして大きな働きが期待されるのがナイム・スリティ(ディジョン/フランス)。視野がやや狭く、攻守にハードワークできるタイプではないが、相手のディフェンスに間延びが出てくる後半途中に投入すれば、中央エリアから打開してゴールを奪うキーマンとして活躍しうる。そうしたオプションを有効活用するためにも、イングランドやベルギー相手にも後半の早い時間帯までに試合が決まってしまわないような粘り強い戦いをしていきたい。
(文:河治良幸)
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