オーバメヤン不在で求められる「質の向上」
背番号23は「もっと決定的なところでの質を上げなきゃいけない」と言う。
「最後のところのやっぱり、一歩であったり精度が足りていないだけで、そこを、より効率良くするためには、やはりもっと決定的なところでの質を上げなきゃいけない。そういうのを作り出すにはもっとやはり辛抱強くボールを回したり、あるいは仕掛けていく必要があるんで、そこはもっとやはり質を上げていかなきゃいけないと思います」
後半開始早々の46分、ダヴィー・ゼルケに決められ先制を許したドルトムント。52分、右サイドのアンドレ・シュールレがゴール前にクロスを送るが、ジェイドン・サンチョには合わず。56分、ペナルティエリアの左で、クリスティアン・プリシッチが走り込むマリオ・ゲッツェにヒールで渡すが、背番号10はシュートを打てず、ボールはGKトーマス・クラフトにそのままキャッチされる。「最後のところの」「一歩であったり精度が足りていな」かった。
71分、サンチョが左サイドをドリブルで仕掛け、粘って折り返したボールを、ファーで香川がヘディングで決めるのがやっとだった。
同点ゴールを決めた背番号23は「辛抱強くやっていくしかない」と言う。
「今、なかなか個の力っていう意味では、ちょっとやはり抜けているところはあるんでね、やっぱ怪我人いますし、まあ辛抱強くやっていくしかないですし、そのためにやっぱ失点は防ぎながらやらないと。こういうアウェイの地で大量点でっていうのは厳しいですし、そういう意味では粘り強くもっとやらないと、なかなか勝てないと思います」
オーバメヤンの去就は不透明。マルコ・ロイスは順調に回復しているが、まだ起用可能な状態にはない。17歳のサンチョは左サイドで高い技術を見せているが、まだ可能性に留まっている。控えのFWがアレクサンダー・イサクのみの現状を鑑みれば、エースFWがチームを去る、去らないにかかわらず、前線に「個の力」の補強は急務のはずだが、現時点で具体的な動きは見られない。
来月からはヨーロッパリーグの決勝トーナメントも始まるが、これから後半戦を通して、果たして勝ち星を積み重ねていくことができるのか。
一抹の“怖さ”が残るヘルタ・ベルリン戦となった。
(取材・文:本田千尋【ベルリン】)
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