もしもメッシがボランチだったら……
エンゴロ・カンテのようにボールを奪い、リオネル・メッシのようにドリブルする。そんな選手などいるはずがないと思ってしまうかもしれないが実際にいるのだ。RBライプツィヒのナビ・ケイタがそうだ。
故郷のギニアでは石ころをゴールに見立てて裸足でボール(またはボールに見立てた何か)を蹴っていたという。主なフィールドは道路で、車をよけながらプレーした。ストリートサッカーでボールを奪うこと、奪ったボールをドリブルで運んで決定的なプレーをすることを同時に身につけた。
9歳で地元のクラブに入っているが、戦術を教わったことなどなく、16歳のときにフランスでトライアルを受けて初めて本格的なサッカーを知ったという。用語も全然理解できなかったそうだ。
ロリアンとルマンには入れなかったが、FCイストルのユースチームに加入。次のシーズンにはトップチームでデビューしている。そこからはシンデラ・ストーリーだ。次のシーズンにはオーストリアのザルツブルクへ、2シーズン後にはRBライプツィヒ、そして来季はリバプールでプレーすることが決まっている。
身長172センチと小柄だが、ボールを持つと一瞬で加速する。ピューンと飛び出していく様子は、昔流行ったおもちゃの車“チョロQ”みたいだ。足下にボールを吸い付けたまま敵の間をすり抜けていくときのケイタはまるでメッシである。
それでいてカンテのようにボールを奪うのも抜群に上手い。たぶんメッシがボランチだったらこんな感じなのだろうが、おそらくケイタほど継続的なプレーはできないだろう。