アグエロ、ディバラ、イカルディ・・・前線はスター揃い
【アルゼンチン代表】
FIFAランキング:4位(2017年12月)
監督: ホルヘ・サンパオリ(2017年~)
12大会連続17回目の出場
最高成績:優勝(1978年アルゼンチン大会、1986年メキシコ大会)
南米予選3位通過
マルティーノ、バウサ、そして前回大会でチリ代表をベスト16に導いたホルヘ・サンパオリ。予選中に2度の監督交代を経験した前回準優勝のアルゼンチンは、一時プレーオフ圏外に落ちる危機を経験したものの、最後の最後に苦手の高地キトでエクアドルに勝利し、何とか本大会にストレートインした。
昨年5月に火中の栗を拾う形でチームを引き受けたサンパオリはラスト4試合を[4-3-2-1]ベースで乗り切ったが、突破後の11月には“師匠”マルセロ・ビエルサが日韓W杯の時に目指した[3-3-1-3]をテスト。開催国のロシアには無失点で勝利したものの、くしくも抽選で同グループとなるナイジェリアに2-4で大逆転負けを喫して組織の整備不足を露呈した。
[3-3-1-3]はサンパオリが掲げる流動的なパスサッカーをハイレベルに機能させるのに適したシステムであり、トップ下の[1]を担当するリオネル・メッシ(バルセロナ)に守備や運動量の負担をかけずに攻撃のアクセントになるプレーや決定的な仕事をさせる意図を反映しやすい。ただし、守備では3バックがボールの動きに応じてかなりワイドに対応しなければならず、左右のウィングは中盤、時には最終ラインまで下がっての守備を強いられる。
そうした戦術的なメカニズムを代表レベルで植え付けるのはただでさえ難しいのに、ここから3月の代表Aマッチウィークと直前のキャンプしか強化の時間が残されていない。また仮に主力の選手たちがほぼ完璧にマスターしたとしても控え選手にまで浸透させるのはかなり困難だろう。特に左右のウィング、ボランチ、3バックの左右ストッパーは消耗が激しくなることが予想される。
とはいえタレントは豊富だ。特に前線は綺羅星のごときスター選手が揃い、ゴンサロ・イグアイン(ユベントス)やアンヘル・コレア(アトレティコ・マドリー)といったインターナショナルなストライカーですら最終メンバー入りが危ぶまれているほどだ。そして[4-3-2-1]の“2シャドー”で同時起用できたメッシとパウロ・ディバラ(ユベントス)も[3-3-1-3]だとトップ下は1人しか置けない。
もしかしたらディバラをウィングで起用するプランもあるかもしれないが、成長著しい24歳のアタッカーは強力なジョーカーとして、あるいはメッシを休ませる試合でのスタメンで重宝されるかもしれない。前線の中央にはセルヒオ・アグエロ(マンチェスター・シティ)が君臨するが、ここにもマウロ・イカルディ(インテル)ら他国ならエースになっていてもおかしくない攻撃タレントが揃う。
その一方でディフェンスは優勝候補の列強国の中では個の守備力がやや劣り、選手層も厚くない。守備の大黒柱となるハビエル・マスチェラーノ(バルセロナ)も大会前に34歳の誕生日を迎え、彼に次ぐ主力であるニコラス・オタメンディ(マンチェスター・シティ)が30歳、ガブリエル・メルカード(セビージャ)が31歳と軒並み30オーバーとなっている。膝の怪我による長期離脱から復帰したマルコス・ロホ(マンチェスター・ユナイテッド)や昨年11月にA代表デビューしたヘルマン・ペセージャ(フィオレンティーナ)の突き上げが期待される。