専有スタジアムで集客環境を改善していたユベントス
入場規制は厳しくなり、それ以上にイタリアの人々の間にはスタジアムは危険だというイメージがこびりついている。加えて、スタジアムの環境そのものも陳腐化する一方だった。
1990年のイタリアW杯開催を機に多くのスタジアムが新造または改築されたものの、その全ては地方自治体の所有。クラブが改修を申し出ても当局に跳ね除けられ、延々と押し問答が続くまま会場が朽ちるに任せる事態が各地で展開された。
一方その流れを尻目に、ユベントスは専有スタジアムを造って集客環境を改善していた。管理費用はトリノ市にも負担となっていたデッレ・アルピの管理権を経て、プレミアリーグ勢を参考にショッピングセンターやレストランなども併設された新スタジアムとして改築。それがあのユベントス・スタジアム(現アリアンツ・スタジアム)である。
ピカピカのスタジアムでどの試合もほぼ満席、しかも併設された商業施設から出された収益によって彼らが潤う一方、他のクラブは黙って見ているのみという状態になった。
だが遅ればせながら、ようやく新スタジアムの建設にこぎつけるクラブも現れた。その一つがカリアリだ。彼らは今季から、サルデーニャ・アレーナという新ホームで試合をはじめた。
収容客数16233名、着工が2017年の5月3日、供用開始が9月10日と超突貫工事。イタリアで5番目となるクラブ専有スタジアムは、異例の早さで仕上がった。
グラウンドは旧ホームであるサンテリア横の駐車場を潰して作られた。スタンドは仮設で、サンテリアの陸上トラックに設置されていたものが一部移設されている。
しかし、突貫工事の産物でありながら陳腐なイメージはさほどなかった。スタンドの外周はパネルで覆われ、メインスタンドには屋根も設けられ、規模は小さいがショップやクラブミュージアムもある。もちろん、スタンドがピッチに近いサッカー専用だ。