各クラブにとって急務な経営体質改善
イタリア代表、ロシアW杯予選敗退。代表チーム、国内リーグともに凋落傾向の続くイタリアのサッカー界にとって、更なる影を落とすエピソードとなった。
しかし、凋落傾向にはいい加減ピリオドを打たなければならない。幸いセリエAの各クラブからは将来が楽しみなイタリア人の若手が徐々に台頭を始めているし、2017-18シーズンの前半戦は首位争いも盛り上がった。とはいえ建て直しのためには、クラブレベルでの努力が求められる状況である。とりわけ各クラブにとって急務なのは、経営体質を改善し資金力をつけることだ。
イタリアサッカー協会(FIGC)が集計したデータによれば、最近の数値である2015-16シーズンのセリエA各クラブの収入平均は約9500万ユーロ。これは4大リーグの中では最低の数字であり、ブンデスリーガだと各クラブ平均で約1億3500万ユーロ、プレミアリーグになるとなんと約2億2000万ユーロという数値になるという。
そのためには収益を上げる努力をしていかなければならないが、これが難しい。各クラブとも平均で総収入の40%をテレビ放映権に頼っており、グッズ収入などのマーチャンダイズやスタジアムでの収入はそれぞれ10%に満たないのである。
つまりは、収入を上げるためにはスタジアムにもっと客を呼べる環境にしなければならないというわけだが、イタリアのサッカー界はこの課題を抱えてまる15年以上になる。1990年代後半から2000年代前半にかけて、各地のスタジアムでサポーターの暴力事件が先鋭化し客足が遠のいた。
2007年2月のシチリアダービーでは警官隊とカターニアのウルトラス約250人が衝突し、警官1名が死亡。このシーズンのセリエA平均集客数は史上初めて平均2万人を割った。その後集客は持ち直すが、近年は平均22000人程度で横ばいが続いていた。