“二強二弱”のグループで狙うは歴史的な勝ち点獲得
目標:1勝
ノルマ:勝ち点獲得
本大会ではベルギー、チュニジア、イングランドと同じ組に入った。“二強二弱”という構図がはっきりしたグループであり、よほどのことがない限り、ベルギーとイングランドがノックアウトステージに進むだろう。
パナマにはその“よほどのこと”を起こすことが求められるのだが……現実的に考えて非常に難しいのは、1998年フランス大会の日本代表を考えれば想像がつくだろう。最低限のノルマは「3試合を戦ってW杯を経験すること」、目標は「勝ち点を獲得すること」、これが現実路線だ。
勝ち点を獲得できる可能性がある対戦相手はチュニジアだろう。実際の試合ではチュニジアが主導権を握ることになるだろうが、堅守速攻で戦うパナマにとってはある意味、願ってもない相手と言える。ましてやパナマとチュニジアは最終節で対戦し、その時点で両チームともグループステージ敗退が決まっている可能性が高い。そこでモチベーション高く望めれば、格上のチュニジアに対しても互角かそれ以上の戦いを演じられる可能性が高い。
注目選手は速攻のカギを握る両サイドMF、キンテーロとバルセナスを挙げたい。キンテーロはスペインやコロンビア、メキシコ、ペルーと様々な国でプレーしてきた経験豊富な選手で、07年のU-20W杯に出場した経験を持つ。パナマは近年、若年層を強化していて、U-20W杯、U-17W杯への出場率は意外なほど高い。
キンテーロはその強化策の象徴とも言える選手だ。一方のバルセナスは“エル・マーゴ(魔術師)”の異名を持つ24歳のテクニシャンで、現在はメキシコ2部のクラブでプレーしている。かつてクロアチアのクラブでプレーしたことがあるものの、この時は出場機会に恵まれず、ロシアW杯は再度の欧州上陸にチャレンジする場にもなる。
バロイやB・ペレス、守護神のハイメ・ペネードは36歳、G・ゴメスは35歳と、現在の代表は大ベテランがけん引している。彼らにとっては今大会が最初で最後のW杯となるだろう。だからこそ、バルセナスのように今後のパナマをけん引すべき選手を23人の招集メンバーの中に多く入れ、次の22年カタール大会以降に繋げなければならない。17年10月11日を“一夜限りの祝日”にしてしまってはいけない。それがパナマに課せられた使命だ。
(文:池田敏明)
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