「もし日本から声が掛かったら考えちゃうな。日本、大好きだから」
少年時代からの「プロ・フットボーラー」になる夢をブリスベンで果たしたオトゥールは、そこで1歳年下で同じ日系フットボーラーのMFジョー・カレッティ(カレッティ丈)との再会を果たす。2人はシドニー出身なうえ母親同士が日本人で親しいこともあって、8歳の頃からよく知る仲だったが、オトゥールの日本行き以降は疎遠になっていたのが、一昨年のオトゥールのロア入団でおよそ6年ぶりの再会と同時にチームメイトとなったのだ。
「ロアに呼ばれてチームに合流した時、ジョーイ(カレッティのニックネーム)がいて、『おー、久しぶり』みたいな感じで(笑)」と冗談めかすが、「2人ともシドニー出身で、家から出て1人暮らしをしているなど境遇を同じ存在が近くにいるのは心強い。同じジャパニーズだし、一緒に食事に行ったり、親が来て料理を作ってもらったりと、仲良くやってます」とピッチの外でも良いコミュニケーションが取れているようだ。
そんな2人の共演は、現在のところはカレッティの負傷離脱もあって、オトゥールのデビュー戦から連続の4試合に留まっている。今後、それぞれのチーム内での重要性がますます高まっていくのは必至で、若い2人の“ジャパニーズ・コネクション”がピッチ上でどんどん深まっていくことを期待したい。
オトゥールに今後のキャリアの展望を聞いた。
「自分にゆかりのある東京で行われるオリンピックを戦うオリルーズ(豪州U-23代表の愛称)に選ばれること。もし、それが実現すれば、キャリアのハイライトとなると言ってもいい」ときっぱり。既にA代表デビューを果たしているアレックス・ガーズバック(ローゼンボリ/ノルウェー)のような強力なライバルの存在はあれど、今の順調な成長曲線を描いていければ、あながちその実現も夢ではない。
クラブレベルでの話では「(今季末で切れる2年)契約をまずは更新して、あと数年はロアでプレーしたいけど、その後は日本を含めて海外。日本でチャンスが貰えるのであれば、それはもう最高だけど…。でも、まずはロアで結果を出すことが大事」と問わず語りでJ挑戦の話が出た。
現時点では、まったく日本からの引き合いはないというオトゥール。「(日本人選手では)上手くて、カッコいい内田篤人選手に憧れる」というが、彼もハーフのイケメンだ。しかも、日本国籍で外国人枠を使わずに獲得できて、その能力も確かとなれば、将来的にJリーグクラブの獲得候補のリストに名前だ挙がってきてもおかしくはない。
最後に、「将来、A代表で日豪両国から同時に引き合いが来たらどうする?」とちょっと答えにくい質問をぶつけてみた。
「難しいなぁ…本当に分からない…うーん…でも、もし日本から声が掛かったら考えちゃうな。日本、大好きだから」
このまま順調に揉まれれば、もしかするともしかするかも…などと思いながら、真夏の野外でのインタビュー取材を切り上げた。
コナー・オトゥール、いや、日本式ならオトゥール・コナー、日本の高校サッカーで育ちAリーグで存在感を増しつつある彼の名前を覚えておいて損はないだろう。
(取材・文:植松久隆【ブリスベン】)
【了】