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高校サッカー育ちのAリーガー。日豪ハーフの20歳、コナー・オトゥールの人生を変えた出会い

先日、楠神順平がウェスタンシドニー・ワンダラーズを退団して、オーストラリアのAリーグでプレーする日本人はいなくなった…。しかし、実は日本にルーツを持つ選手が他にもいる。そのうちの1人、ブリスベン・ロアに所属するコナー・オトゥールは、珍しい経歴の持ち主だった。様々な出会いに導かれ、夢だったプロへの道を切り開いた20歳の今に迫った。(取材・文:植松久隆【ブリスベン】)

text by 植松久隆 photo by Getty Images, Paul Smith Photography, Taka Uematsu

名前は「和希」!? 日本にルーツを持つ20歳

コナー・オトゥール
日本では「オトゥール・コナー」として知られる高校サッカー育ちの20歳はブリスベン・ロアで着実に成長を遂げている【写真:Taka Uematsu】

 年の瀬も押し迫った昨年12月28日。Aリーグのブリスベン・ロアの練習グラウンドに久しぶりに足を運んだ。この日のお目当ては、DFコナー・オトゥール(20)。今季、Aリーグデビューを果たして今季ここまで8試合に出場している若手の有望株だ。

 果敢なオーバーラップから左足での正確なクロスで何度となくチャンスを演出、けが人続出のチームで左サイドバックとして出番を確実に増やしている(筆者注:年明け初戦の第14節で相手選手と交錯して顔面に数針縫う裂傷を負ってしまった)。

 その日の取材は、日本語と英語のどちらで話を聞くか本人に確認することから始まった。

「日本語で大丈夫です。最近は、お母さんと電話で話す時くらいしか話さないから忘れてしまってるけど」と、10年過ぎてもさほどの上達が見られないこちらのジャパニーズ・アクセント丸出し英語が恥ずかしくなるくらいの自然な日本語の答えが返ってきた。

 典型的なアイリッシュ・ネームの姓名だけでは分かりにくいが、彼はアイルランド人の父と日本人の母を持つ、いわゆるハーフ。生国である豪州からすれば、日系オーストラリア人ということになる。フルネームは、コナー・ニール・カズキ・オトゥール。「和希」という日本名は、本人がすらすらと書いて教えてくれた。パスポートは、現時点で豪州、日本、それに父系を遡ってのイングランドの3つを保有。父の祖国アイルランドも申請すれば簡単に取れるというので、現時点では4ヶ国のいずれの代表チームでもプレーできる可能性がある。

 今季、Aリーグデビューを果たしたばかりの彼の名は、豪州国内でもようやく知られてきたところだ。当然、日本での知名度はまだ高くないが、すでにに日本式の「オトゥール・コナー」という表記で日本のフットボールメディアのデビューを果たしている。

 というのも、オトゥールは東京の高校サッカーの強豪として知られる成立学園高校に3年間所属して、3年次は主力選手として活躍した実績がある。彼は、日系でなおかつ日本、しかも高校サッカー仕込みのAリーガーという稀有な存在なのだ。そして、冒頭で見せたような高い日本語力は、この日本での高校生活の賜物ということになる。

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