必要ならば鬼軍曹に徹して厳しさを前面に
ガンバの三冠達成時や、昨シーズンに悲願の初優勝を果たした川崎フロンターレには「風が吹いていた」と独特の表現でタイトル獲得の舞台裏を明かす。
2014シーズンは最後の3試合で、首位だった浦和レッズに急ブレーキがかかった。昨シーズンでいえば鹿島アントラーズの急失速であり、ガンバの指揮官として目の前で見ながら、PKが宣告されなかったフロンターレDF谷口彰悟のハンドが「風」に当たると力を込めた。
「クラブ、チーム、サポーターが一体となり、勝ちたいという思いが本当の意味でひとつになったときにああいう風が吹く。そのためにも、まずはチームが変わっていかないと。試合に出たい、アイツに負けたくない、もっともっと上手くなりたいという競争意識の高まりが、やがて風に変わっていくので」
大久保とウタカはチームを去ったが、代わりにディエゴ・オリベイラが柏レイソルから加入。昨年11月1日に結んだプロ契約を機に全日制高校から通信制高校に転校して、午前中の練習参加にも支障がなくなった16歳のMF久保建英も、背番号を「41」から「15」に変えて開幕へ照準を合わせる。
これまでヤマザキナビスコカップを2度、天皇杯を1度制しているものの、最後に美酒に酔ったのは2011年度の天皇杯までさかのぼる。ガンバで築き上げた金字塔の輝きが失せるリスクもあるのでは、という問いを長谷川監督は一笑にふした。
「まったくリスクは感じません。楽しみな選手が多いですし、自分自身にとってもいい意味で新たな挑戦だと思って、新鮮な気持ちで仕事ができればと思っています」
新体制発表会から一夜明けた14日からは沖縄・国頭へ移動し、第1次キャンプに突入している。ぬるま湯体質を駆逐するために、必要ならば鬼軍曹に徹して厳しさを前面に押し出しながら、攻撃面での目標を総得点50点以上に設定。アタッカー陣のなかで、理想的な組み合わせをまずは模索していく。
(取材・文:藤江直人)
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