注目はACLでも活躍したアル・ファラジュ
目標:ベスト16
ノルマ:1勝
新監督が本格的に準備できる時間は限られている。サウジアラビアの場合ほとんどが国内組であるため国際Aマッチデー以外にもキャンプやクラブチームとの練習試合を組むことは可能だが、これまでのチームを引き継ぎながらオプションを加え、A組のロシア、ウルグアイ、エジプトの対策をして本大会に備えるしかない。
それでも初戦で開催国のロシアに一泡吹かせ、ウルグアイ戦を何とか乗り切って3試合目のエジプト戦で勝機を見出せればグループリーグ突破の可能性がゼロということはないだろう。セットプレーや後半の選手交代が“番狂わせ”を起こすカギになってきそうだ。
注目選手は司令塔のアル・ファラジュだ。ACLでも活躍したアル・ヒラルの司令塔はパスワークの中心を担いながら機を見てドリブルを仕掛け、ミドルシュートを狙う。アル・ヒラルのチームメートであるアル・ドサリやアブドゥラー・ウタイフとのコンビネーションも申し分ない。“格上”の強豪国を相手に厳しい戦いになるが、おそらく数少ないチャンスの起点になるのは彼だろう。セットプレーのキッカーとしても期待だ。
攻守の要となるのがボランチのオタイフだ。運動量が豊富で局面の当たりも強い。ボールを奪ってからのパスも正確で、彼がアル・ファラジュを背後から精力的にサポートできればチャンスの芽も大きくなる。前に攻め上がっての得点力は無いが、中盤の底でスペースを埋め、攻撃陣を支えられるサウジアラビアでは希少なタレントだ。
試合を決めるべきアタッカーは何人かいるが、最もその可能性を秘めるのはファハド・アル・ムワラド(アル・イテハド)だ。予選突破を決めたホーム日本戦で決勝ゴールを決めた俊足アタッカーで、シュートの技術はチーム随一。当時はスーパーサブとして重宝されていたが、俊敏なテクニシャンを好むピッツィ監督がどう起用していくかは注目だ。
守備陣では右サイドバックのヤシル・アル・シャハラニ(アル・ヒラル)が高い攻撃能力を備えており、組み立てから正確なクロスまで頼りになる存在だ。長身センターバックのオマル・ハウサウィとオサマ・ハウサウィは守備の生命線であり、彼らがゴール前の中央で相手FWを封じ込めれば、多少押し込まれても守備の破綻にはいたらないはず。またセットプレーの得点源としても勝負のカギを握る。
(文:河治良幸)
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