10年目で巡り会えた理想とも言えるチームと仲間たち
上手いだけでは満足せず、遠回りを覚悟のうえで、泥臭ささや献身性、最後まであきらめない執念を上乗せしてきたサッカー人生が、セレッソで合致したと表現すればいいだろうか。10年目で理想とも言えるチームと仲間たちに巡り会えた水沼が、完全移籍に切り替えたのは必然の流れでもあった。
「上手い選手たちが周りに大勢いると、技術の部分でも成長できる、と実感できたシーズンだった。初タイトルから二冠目を取れる場に関われたことは嬉しいし、少なからず貢献できたことは幸せなことですけど、来シーズン以降こそがセレッソの課題だと思うので。マリノス戦でも逆転できたことは間違いなく成長できた部分だけど、先制されたことは課題だし、ひとつ上のレベルにいくためには、そういうところを疎かにしてはいけないと思っています」
来たる2018シーズンへ向けて、去就が決まっていないにもかかわらず、水沼は天皇杯決勝後に熱い思いを残していた。完全移籍であらためてセレッソの一員になったいま、初優勝を目指すJ1、ともに連覇を目指すYBCルヴァンカップと天皇杯、そして未知の舞台となるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を含めた次なる戦いへ、真っ赤に燃える闘志をたぎらせているはずだ。
(取材・文:藤江直人)
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