期限付き移籍の1年で築き上げた居場所
歓喜の天皇杯戴冠から10日。新チームの始動を15日に控え、つかの間のオフで2018シーズンへ向けて充電しているセレッソ大阪に吉報が届いた。
元日に埼玉スタジアムで行われた横浜F・マリノスとの天皇杯決勝で、1点ビハインドの後半に同点ゴールを演出し、突入した延長戦では決勝ゴールを決めたMF水沼宏太の完全移籍による加入。クラブの公式ホームページには、喜びにあふれる水沼のコメントが掲載された。
「セレッソ大阪に関わる全ての皆さん。この度、完全移籍でセレッソの仲間に加えていただけることになりました水沼宏太です。昨シーズンは皆さんに温かく迎え入れていただき、大好きな仲間にも巡り合うことができた本当に素晴らしいシーズンでした。感謝の気持ちを忘れず、サッカーと真摯に向き合い、また新たな目標に向かって全力で闘いたいと思います! 笑顔溢れるシーズンになるよう、一緒に闘いましょう!」
FC東京から期限付き移籍でセレッソに加入した昨シーズン。時間の経過とともに、3年ぶりにJ1の舞台へ帰ってきたチームのなかで水沼は異彩を放ち、揺るぎない居場所を築きあげた。
労をまったく惜しまない豊富な運動量、チームのために尽くす献身的な姿勢、そしてチームメイトたちを厭うことなく叱咤激励するリーダーシップ。マリノスの下部組織時代に身につけた高いテクニックを加えたすべてが、アカデミー出身選手が多く、ときには「仲良し集団」と揶揄されることもあったセレッソに鮮やかにマッチした。
たとえば、セレッソにとして悲願の初タイトルを獲得した昨年11月のYBCルヴァンカップ決勝。すでにスタミナも使い果たしているはずの後半アディショナルタイムに、それでも自陣から長い距離を走破。MFソウザのゴールをアシストし、川崎フロンターレにとどめを刺した。
そして、セレッソとして初めて、前身のヤンマーディーゼルサッカー部時代を含めれば43年ぶりとなる天皇杯制覇に貢献した獅子奮迅の活躍ぶり。セレッソの玉田稔代表取締役社長は試合後に、水沼の去就に対してこんな言葉を残していた。
「もちろん完全移籍の方向で話はしています。セレッソの選手はみんな大人しかったから、上手く合ったといいますか、鼓舞してくれたところで大きく変えてくれたと思います。率先して走りますしね」