「強国にも負けないサッカー」が復活
【スウェーデン代表】
FIFAランキング:18位(2017年12月)
監督:ヤン・アンデション(2016年~)
3大会ぶり12回目の出場
最高成績:準優勝(1958年スウェーデン大会)
欧州予選グループA2位通過
欧州予選PO対イタリア戦1-0(2戦合計)
昨年のEURO後にアンデション監督が就任して新たな船出を切ったチームは、予選ではフランスとオランダが同居する死のグループに入り、プレーオフではイタリアと当たるなど外れクジを引き続けたが、立て続けに下馬評を覆して見事3大会ぶりの出場権を獲得した。
指揮官は就任当初、「目標はEURO2020で、ロシアW杯は本戦に出場できればボーナスのようなもの」と考えていたという。まさに2年前倒しでビッグトーナメントに参戦することになった。
アンデション監督が標榜するのは「原点回帰」。アタッキングフットボールを目指した前任者ハムレーンとは異なり、ポジションに関係なく全員がハードワークするという意識を徹底的にチームに植え付けた。構築美と呼ぶにふさわしい守備ブロックは穴がなく、相手に押し込まれることはあっても崩されることは滅多にない。2002年の日韓大会でアルゼンチンをグループリーグ敗退に追いやるなど、1990年代後半から2000年代前半のチームが見せた「強国にも負けないサッカー」が新指揮官のもとで復活した。
システムは「ブローギューラ」(青と黄の意味。代表チームの愛称)の代名詞である4-4-2。攻撃は手数をかけずにゴールに迫るカウンターが主だが、フォシュベリのキープ力を生かした遅攻も可能だ。選手の質・量ともに充実しており、主力が離脱しても大きな戦力低下にはならないだろう。
注目すべき選手はエミル・フォシュベリだ。新興ライプツィヒで主力として活躍し、昨シーズンのブンデスリーガでアシストランキングのトップになった26歳は、ともすれば単調になりがちな攻撃にバリエーションをもたらす。マルメ(スウェーデン)在籍時代は縦への意識が強いアタッカーだったが、ライプツィヒに移籍してプレーの幅を広げた印象だ。昨年のEUROでは不完全燃焼に終わっただけに、今大会にかける意気込みは相当強いだろう。
フォシュベリが攻めの中心なら、守りの顔はリンデロフだ。今季に加入したマンチェスター・Uではシーズン序盤こそ失点に直結するミスが目立ち批判を浴びたが、ここ最近のリーグ戦やチャンピオンズリーグでは安定したプレーを披露するなど調子を上げてきている。今年のスウェーデン最優秀選手賞に輝いたグランクヴィストと形成するセンターバックはまさに鉄壁そのもの。足元の技術にも長けており、ビルドアップにも大きく貢献できる。
もうひとり、S・ラーションの存在も重要だ。予選では終盤からスタメンとして出場し、強靭なメンタリティと労をいとわないプレーでチームに活力を注入。金星を挙げたホームのフランス戦の決勝点は、ラーションのプレスがGKロリスのミスを誘って生まれたものだった。精度の高い右足のキックも健在で、セットプレーでは貴重な得点源となる。