スター揃いのベルギー。だが、個の力に頼りすぎな一面も
【ベルギー代表】
FIFAランキング:5位(2017年12月)
監督: ロベルト・マルティネス(2016年~)
2大会連続13回目の出場
最高成績:ベスト4(1986年メキシコ大会)
欧州予選グループH 首位通過
ベルギー代表の黄金期は1980年代のこと。82年ワールドカップの開幕戦では、ディフェンディングチャンピオンのアルゼンチンを1対0で破って世界を驚かせ、86年ワールドカップでは決勝トーナメントでソ連を4対3、スペインをPK戦の末に破ってベスト4に進出した。以来、ベルギーは堅守速攻型のチームとして、ワールドカップの常連チームとなった。
だが2002年ワールドカップでベスト16に進出したのを最後に、ベルギーは長らくビッグイベントの予選に勝ち抜けなくなった。低迷の兆候は2000年、オランダとともに共催したユーロでグループリーグ敗退を喫した頃からあった。
危機感を募らせた協会関係者は近隣諸国の現場を見て回り、ベルギーのユース育成システムが極端なまでの勝利至上主義に陥っていることに気がついた。それからベルギーは攻撃サッカーを基調とした育成に取り組み、環境整備、指導者のレベルアップにも力を注いだ。
こうして生まれたのが、強力な“個”の集団である。エデン・アザール、ケビン・デ・ブルイネは「プレミアのスーパースター」、すなわち「世界のスーパースター」だ。GKクルトワ、DFコンパニー、MFフェライニ、FWルカクなど、各ラインにスターが揃ったベルギーは、メルテンスですらレギュラーの座が危ういほど選手層が厚く、国内では「ゴールデン・エイジ」と呼ばれている。
今やベルギーにとって予選突破は簡単なもの。14年ワールドカップ、16年ユーロに出場したことによって、ベルギーは世界のサッカーシーンに完全に復帰した。
ギリシャ、ボスニア・ヘルツェゴヴィナと同組になった今回のワールドカップ予選でも、ベルギーは9勝1分け、43ゴール6失点という圧巻の成績を収め、欧州勢でロシア行き一番乗りを果たした。
気になるのは、果たしてマルティネス監督が選手たちやベルギー国民の信頼を完全に勝ち得ることが出来るかどうかということ。16年ユーロまで指揮を執ったビルモッツが更迭されたのは、戦術の無さが理由とされている。
そこでスペイン人指導者のマルティネスが招聘されたのだが、11月10日のメキシコとの親善試合(3対3)で守備組織が崩壊し、デ・ブルイネが「相変わらずベルギーは“個”の力に頼ったサッカーをしている」と指揮官を猛烈に批判した。続く日本戦(1対0)もパフォーマンスが上がらず、国民の間からは「戦術がない。これならビルモッツと変わらない」という声が出始めている。