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代表 7年前

ドイツサッカーに育まれた曲者スイス。前任者の遺産をベースに4年前の再現へ【ロシアW杯全32チーム紹介】

シリーズ:ロシアW杯全32チーム紹介 text by 本田千尋 photo by Getty Images

チーム力に衰えは見られず

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スイス代表の基本フォーメーション

目標:決勝トーナメント進出
ノルマ:1勝1分

 ロシアW杯本大会でグループEに入ったスイスは、ブラジル、コスタリカ、セルビアと同居。ペトコヴィッチ監督は、目標をグループリーグ突破と公言。優勝候補のブラジルはともかく、コスタリカとセルビアは十分に勝利を狙える相手と言えるだろう。FIFAランキングではスイスの8位に対して、コスタリカは26位、セルビアは37位。もちろんペトコヴィッチ自身が「W杯では全ての対戦相手が強い」と言うように、実際の試合になれば、机上のランクどおりに行くとは限らない。

 しかしブラジル大会では、フランス、エクアドル、ホンジュラスと同居して2勝1敗の戦績を残している。フランスには敗れたが、初戦のエクアドル戦、第3戦のホンジュラス戦では勝利を収めた。チーム力に衰えは見られず、4年前の再現は十分に可能なはずだ。ブラジル以外の2カ国との対戦で、少なくとも1勝1分の成績は残したい。もっともペトコヴィッチ監督は、大まかな目標に捉われず、目の前の1戦、1戦に全力を尽くす構えだ。ブラジルを相手にしても「勝ち点を獲得できる」と考えている。

 チームは、ブンデスリーガ“セミ”オールスターズとでも呼ぶべき陣容。例えば、北アイルランドとのプレーオフ第2戦で先発した11人の内、CBマヌエル・アカンジ、SBステファン・リヒトシュタイナー、トップ下ブレリム・ジェマイリの3人を除いて、全員が現役、もしくは元ブンデスリーガーである。SBリカルド・ロドリゲスはかつてVFLボルフスブルクに所属し、FWジェルダン・シャキリはバイエルン・ミュンヘンに所属した。

 控えの選手たちを見ても、GKロマン・ビュルキ(ボルシア・ドルトムント)、GKマーヴィン・ヒッツ(FCアウクスブルク)を始め、CBニコ・エルデヴィ(ボルシアMG)、MFアドミル・メーメディ(バイヤー・レバークーゼン)、FWブレール・エンボロ(FCシャルケ04)ら現役ブンデスリーガーがズラリ。現在のスイス代表は、ドイツサッカーが育んだと言っても過言ではない。

 要注目は10番を背負うグラニト・ジャカ。既にブラジルW杯とEURO2016で主力を張り、両大会で母国の決勝トーナメント進出に貢献すると、16年7月にボルシアMGからアーセナルFCに移籍。ガナーズでもレギュラーの座を確保し、さらなる成長を遂げた。長短織り交ぜた正確なパスと、屈強なフィジカルを活かしたダイナミックなプレーが持ち味のボランチだ。欧州予選では、全選手中トップの834本のパス成功数を記録。2位のドイツ代表トニ・クロースの763本を大きく上回った。

 気性が荒く、カードを貰いやすいのが玉に瑕だった(昨季の公式戦ではイエロー12枚、レッド2枚)が、今季は今のところイエロー3枚に抑えている。精神的にも成熟した“心臓”が、ロシアの地でもスイス代表を牽引する。

(文:本田千尋)

【了】

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