再びベスト8入りを目指すコスタリカ。しかし現実的には厳しい状況
目標:決勝トーナメント進出
ノルマ:1勝
最初に述べたとおり、コスタリカはブラジルW杯でベスト8に進出した。サッカー熱が高く、どことなく楽天的なコスタリカ国民は、当然ながらそれと同等か、それ以上の成績を願っているだろう。しかし組み合わせ抽選の結果、ブラジル、スイス、セルビアと同居という、コスタリカにとってはかなり厳しいグループに入ってしまった。
ブラジルに勝てる見込みが少ないのは言うまでもないだろう。スイス、セルビアから勝ち点を奪わないとノックアウトステージ進出は厳しいが、ヨーロッパ勢とは普段、あまり試合をしていない上に、対戦成績もいいとは言えない。
11月にはスペイン、ハンガリーと親善試合を戦ったが、スペインに0-5、ハンガリーに0-1と連敗を喫してしまった。スペイン戦ではチャンスらしいチャンスはほとんど作れず、逆に5バックを何度も突破されてピンチを招くなど、世界のトップレベルの国との間には大きな差があることを露呈した。
ハンガリー戦はこれまで出場機会が少なかった選手をテストする意味合いの強いメンバー構成だったが、効果的な攻撃を仕掛けることはできず、戦力の底上げの面でも不安を残した。いずれにしても、現実的な目標はグループステージ突破になるはずで、スイス戦、セルビア戦で1勝1分け、勝ち点4を獲得し、2位で突破できれば十分といったところだろう。
注目選手は、攻撃の要であるルイスとボラーニョスを挙げたい。ルイスは現チームのキャプテンであり、ヨーロッパでの経験も豊富。北中米カリブ海地区最終予選では1ゴール2アシストを記録するなど、攻撃陣をけん引する存在でもある。
一方のボラーニョスは、2005年のFIFAクラブ世界選手権(現FIFAクラブワールドカップ)で目覚ましい活躍を見せ、同大会に参加していたリヴァプールが獲得を打診したことがある選手。精力的に走り続ける当時のスタイルから、現在は機を見て攻め上がり、丁寧なパスさばきで試合を組み立てつつゴール前にも攻め込んでいく老獪なスタイルに変貌を遂げている。こちらも欧州での経験が豊富なので、それを還元してくれるだろう。
コスタリカは誰もが認める強豪国ではない。前回大会のベスト8は、言ってみれば“奇跡”だ。そこを勘違いしてはいけない。謙虚さを忘れず、どの試合も全力で挑まなければ、早々に大会を去ることになるだろう。
(文:池田敏明)
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