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前橋育英、悲願の選手権初制覇。山田監督は安堵「負けたら色々言われるなと思った」

text by 編集部

山田耕介
高校選手権初制覇を成し遂げた前橋育英の山田耕介監督

 第96回全国高校サッカー選手権大会の決勝が8日に行われ、群馬県代表の前橋育英が初優勝を遂げて幕を閉じた。

 前橋育英の優勝への道は、昨年の同大会決勝で青森山田に0-5という屈辱的大敗を喫した瞬間から始まった。どの選手も「あの負けは一生忘れられない」と口をそろえ、1年間リベンジのために努力を続けてきた。

 そして辿り着いた2年連続の決勝の舞台。対戦相手だった流通経済大柏の本田裕一郎監督は「客観的にチーム力を見たとき、私たち指導者の中では今年は間違いなく前橋育英が関東で一番だった。負けるべくして負けた」と、前橋育英の実力を称賛した。

 一方、30年以上にわたって前橋育英で指導に携わり、初めて高校選手権で頂点に立った山田耕介監督は「厳しい戦いでしたが、なんとか日本一になれて本当にホッとしています」と安堵を口にする。「また負けたら色々言われるなと思って(笑)。また準優勝かよって。それが脳裏を離れなくて」と笑顔がこぼれる。

 昨年度の準優勝も含め、これまで選手権でベスト4以上は4度あったがいずれのチャンスでも優勝を逃していた。「昨年の(決勝・青森山田戦の)0-5から始まったんですけれども、とにかく1年間、歯を食いしばってボールを追い続けた結果が今日出たんじゃないかと思っています」と山田監督。

 初優勝の要因には「経験」を挙げる。昨年の大会でも主力だった2年生たちが3年生になり、チームを引っ張っていった。高校サッカーでの指導経験が豊富な指揮官も「実際、決勝の場に、ピッチ上にいることというのはすごい財産になるわけで、その経験者が何人もいるというのはものすごく大きいと思う」と語る。

 絶対に忘れない5失点から1年、前橋育英はついに頂点を極めた。山田監督の視線はすでに新年度、そして「連覇」に向いていた。昨年度は圧倒的な強さを見せていた青森山田が成し遂げられなかった2年連続での戴冠が困難なミッションであることを理解しながらも、次のチャレンジにも意欲は尽きていない。

「また今年もこういう場でやれたことが財産になるので、それをもっともっと、引き続きやっていければいいかなと思います。ただ自信はいいんだろうけど、変な風に慢心してしまうと厄介なので、それはこちらの方で注意しながらやっていきたい」

(取材・文:舩木渉)

【了】

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