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流経大柏の本田監督、高校サッカーの“大人の事情”に苦言「これが育成につながるのか」

text by 編集部

本田裕一郎
流経大柏の本田裕一郎監督

 第96回全国高校サッカー選手権大会の決勝が8日に行われ、群馬県代表の前橋育英が初優勝を遂げて幕を閉じた。

 試合後、10年ぶりの日本一を目指しながら決勝で敗れた千葉県代表の流通経済大柏を率いる本田裕一郎監督は「悔しい。でも生徒たちはよくやったと思います」と、最終盤の劇的ゴールで敗れた選手たちの戦いぶりを称えた。

 一方で、冬の風物詩となっている高校選手権のあり方に疑問を呈している。本田監督は「そろそろこの大会を検証していかなければならない」と述べた上で、「これが18歳以下の育成につながっていくのか」と切り出した。

 習志野市立習志野高校を指導していた時代からチームを何度も全国大会出場に導き、流経大柏では2007年に選手権優勝も果たしている72歳の名将は、昨年インドで行われたU-17W杯で頂点に立ったイングランドの育成を例に挙げ「いい選手を集める方法を変えた、そして指導者の研修を変えて、指導者を増やした」と、ヨーロッパの強豪国が育成改革で一定の成果を出している現状を指摘する。

 そのうえでに日本の現状について「プレイヤーズファーストを掲げているのだから、運営最優先ではなくて、選手優先にしていかなければならない」と語る。

 本田監督は選手権の過密スケジュールがプレーする18歳以下の選手たちに与える影響を心配している。「私も大学で運動生理学を学びましたが、人間の体が最低でも24時間ないとなかなか回復しないという中で、(中日のない)連戦になっている。それは私たちの世代で終わりではないか」と、現状の問題点を挙げる。

 確かに今大会も含め、選手権は2回戦と3回戦、準々決勝と準決勝など2日連続で試合をしなければならない日程になっていた。前の試合が終わってから約22時間後に次の試合がやってくる、あるいは1日目が14時キックオフで2日目が12時キックオフになれば、2試合の間は20時間前後しかないことになる。このようなスケジューリングに無理があるのではないかと、本田監督は考えている。

 現代サッカーは以前よりもプレー強度が高くなっており、それにともなって選手にかかる身体的負荷も大きくなっているのは周知の通り。同時に選手が回復に要する時間は長くなる。大会期間を長くすることは地方から参加する学校にとってより大きな負担になるなど劇的な改革が難しい面もあるが、「(大会形式の問題などを)そろそろ検証していくときかと。プレイヤーズファーストで間違いないですから」と、長年にわたって高校サッカーに携わってきた名将は強調した。

【了】

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