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W杯史上最少人口33万人の小国。アイスランド、あの「バイキング・クラップ」披露に期待【ロシアW杯全32チーム紹介】

6月14日に開幕する2018FIFAワールドカップロシア。グループリーグの組み合わせも決定し、本大会に向けて期待感は高まるばかりだ。4年に一度開催されるサッカーの祭典には各大陸予選を勝ち抜いた32チームが参加する。フットボールチャンネルでは、その全チームを紹介していきたい。今回はグループDに入ったアイスランド代表を取り上げる。(文:鈴木肇)

シリーズ:ロシアW杯全32チーム紹介 text by 鈴木肇 photo by Getty Images

W杯本大会史上最も人口が少ない国

EURO2016でおなじみとなったアイスランド代表の「バイキング・クラップ」
EURO2016でおなじみとなったアイスランド代表の「バイキング・クラップ」【写真:Getty Images】

【アイスランド代表】
FIFAランキング:22位(2017年12月)
監督: ヘイミル・ハルグリムソン(2013年~)
初出場
欧州予選グループI 1位通過

 2016年のEUROで話題をさらった北大西洋の小さな島国は、フランスでの躍進がフロックではないことを証明した。

 クロアチア、トルコ、ウクライナが同居する厳しいグループを1位で勝ち抜け、W杯史上最も人口が少ない国として本大会への切符を獲得。気候に左右されないトレーニング施設やピッチへの投資、そして優れた指導者育成が実を結び、近年はA代表のみならず各年代代表、さらには女子代表も国際舞台で存在感を放っている。北欧の小国には今や世界中が熱い視線を送る。

 システムは中盤がフラットに並ぶ4-4-2がベースだが、スウェーデン人ラーゲルベックが退任してから単独でチームを指揮するハルグリムソン監督は対戦相手によって4-2-3-1、さらには3トップシステムも併用する。

 予選10試合平均のボール支配率は44パーセント。「われわれがスペインのようにプレーしようとすれば酷い模造品となる。そうなってしまっては何も成し遂げられない」とハルグリムソン監督が強調するとおり、このチームに華麗なパスサッカーは無縁で、堅守速攻がチームの生命線だ。

 強固な守備ブロックを形成し、高い連係力でボールを奪うや否や、両サイドを起点にして手数をかけずゴールに迫る。小国のメンタリティを良い意味で備えており、見栄は張らずに自分たちができることを実直に遂行する。

 団結力と組織力は出場国の中でもトップクラスだ。特定の選手に依存することがないのも強みで、レギュラー選手が欠けたとしてもそれほど大きな影響はない。

 それでもあえてキーマンをあげるとすれば、ハルグリムソン監督が絶対の信頼を置くG・シグルズソンとグンナルソンだ。この2人は年代別代表からともにプレーしており、中盤での連係はすでに完成の域に達している。

 10番を背負うG・シグルズソンは今夏にクラブ史上最高額の移籍金64億円でエバートンに加入したアタッカー。かつてチェルシーやバルセロナでプレーしたエイドゥル・グジョンセンと比較されることの多い28歳は、アイスランド年間最優秀選手に5年連続で選ばれるなど、国民的英雄だ。

 予選では全10試合にフル出場し、チーム最多の4得点をマーク。卓越した戦術眼を備え、チャンスメークとフィニッシュの両面に絡み、セットプレーでは得意の右足で直接ゴールを陥れる。

 攻撃のみならず守備における貢献度も高く、献身的な動きでDF陣をサポートすることも厭わない。ここまでエバートンで結果を残せていないのが気になるが、調子を上げてくれば対戦相手にとって脅威となるのは間違いない。

 このG・シグルズソンとコンビを組むのが、キャプテンマークを巻くグンナルソンだ。紛れもなくチームに必要不可欠な存在で、予選突破後にハルグリムソン監督がこの主将をペレやマラドーナに例えたほどだ。

 闘争心を前面に押し出して広い範囲を動くボックストゥボックス型のファイターは、攻守に積極的に関与する。すっかりお馴染みとなったロングスローはチームの貴重な得点源だ。

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