日本の実力を測る重要な大会に
いよいよ2020年の東京五輪に向けた本格的な準備が始まる。残された時間は2年半、その重要な一歩目が今月9日から中国で開幕されているAFC U-23選手権である。日本はグループステージ3連勝を飾って決勝トーナメントに進出。U-23ウズベキスタン代表との準々決勝はCSテレ朝チャンネルで生中継される。
森保一監督の下、東京五輪での躍進を目指すU-21日本代表は、2歳上の選手達が揃うアジアの強豪相手に優勝を狙う。指揮官も同大会の招集メンバー発表会見で「決勝まで行って優勝を目指してやっていきたい」と話し、「相手は2歳年上のメンバーが中心に編成してくると思うが、今回日本代表として選ばれるU-21の選手も、(2歳上と対戦しても)同等の試合をやってもらえると思って招集している」と選手たちに発破をかけた。
今回のAFC U-23選手権は五輪予選を兼ねたものではないが、日本の実力を測る重要な機会になる。昨年7月にカンボジアで行われたAFC U-23選手権予選では、本大会開催国の中国に敗れていた。決して日本がアジアのトップにいるわけではなく、挑戦者として臨まなければならない。
AFC U-23選手権に招集されたDF原輝綺(アルビレックス新潟)は、昨年7月の予選の後「中国に負けて差を感じた。年上というのはわかっていましたけど、試合の運び方だったり、相手から日本代表には負けたくないという圧も感じました」と、アジアのライバルとの対戦の難しさと悔しさを語っていた。
原は昨年、U-20W杯にも出場して世界の同年代の選手たちとの差を身をもって感じた1人。今回のAFC U-23選手権にも同じ舞台に立った選手が10人招集されている。森保監督も「この年代では世界大会という大きな大会を経験したメンバーの多くが来てくれるということで、その選手たちがどういうパフォーマンスを見せてくれるか、そしてこれからのポテンシャルをどう見せてくれるかというところを、彼らを含めてチーム全体で見ていきたい」と期待を寄せる。
東京五輪で結果を残すためには、U-20W杯で痛感した世界との差を個の部分でも、組織の部分でも残された2年半という短い時間で埋めていかなければならない。
また、昨年12月に森保ジャパンの初陣となったタイでのM-150カップから継続して招集されている選手が6人、大学生が3人、高校生の伊藤洋輝(ジュビロ磐田U-18)などフレッシュなメンバーが揃う。
「これからまだまだ伸びるだろうなと思わせてくれるポテンシャルを見せてくれた選手はまだまだ他にもいる」と森保監督が語るように、今後も間口を広げて多くの選手にチャンスを与え、チームのスタイルに合う組み合わせを模索していく方針だ。
選手たちにとっては生き残りをかけた激しいポジション争い
東京五輪への強い思いを秘め、U-20W杯で世界の舞台を踏んでいるメンバーと、新たに加わるメンバーの融合、そしてさらなる競争の喚起もAFC U-23選手権での重要なテーマになる。
今回は海外でプレーしているMF堂安律(フローニンゲン)やMF伊藤達哉(ハンブルガーSV)、所属クラブで多くの試合に絡んでいたDF中山雄太(柏レイソル)やDF杉岡大暉(湘南ベルマーレ)、海外移籍の噂があるDF冨安健洋(アビスパ福岡)、U-20とU-17のW杯をはじめ複数カテゴリで多くの試合に出場し、J1デビューも果たした16歳の久保建英(FC東京)など、同世代の有力選手は招集が見送られている。彼らもチームに加わってくれば、東京五輪のメンバー入りに向けた競争は今後さらに激しくなるはずだ。
また、森保監督は東京五輪の過密日程を見据えて「選手には複数のポジションをやってもらおうと思っている」と明かしている。五輪は登録メンバーが18人に限られ、中2日で試合をこなしていかなければならない可能性もある。
そのため「誰が怪我をする、誰が体調不良、コンディション不良になっても、チームとしての力、機能を落とさないで戦えるように、あるいはいろんなオプションをもって戦えるように」という意図で、選手たちには複数の役割をこなせるように要求している。
そういったことも踏まえ、AFC U-23選手権は優勝を目指すとともに、サンフレッチェ広島で3度のJ1優勝経験を持つ森保監督がどのようなスタイルを選択するのか、誰が今後の競争で生き残っていけるのか、監督の要求に応えられる選手はいるのかといったポイントも注目される。オフシーズンの難しい時期で五輪出場権もかかってはいないが、2年半の準備のスタートとして大きな意味を持つ大会となるのは間違いない。
森保ジャパンの試金石となる大会。19日に行われる準々決勝のウズベキスタン戦は、CSテレ朝チャンネルで生中継される。
<日本代表 準々決勝>
1月19日 17時00分~:U-23ウズベキスタン代表戦
【了】