目標達成には初戦勝利が必須
目標:ベスト16
ノルマ:1勝
前回大会を考えればまずは1勝がノルマになるだろう。その一番可能性がある試合はモロッコの初戦となる。ほぼ同格の相手とはいえ中盤のパスワークは欧州の中堅国に匹敵するレベルにあると見られ、アフリカ最終予選で無失点と堅守を誇る。そのモロッコからいかに勝ち点3を奪い、グループリーグ突破に大きな希望を残してスペイン、ポルトガルに挑んでいく態勢を整えたい。
“格上”と言ってもボールを圧倒的に支配してくるスペインと時間帯や状況に応じて戦い方を変えてくる欧州王者のポルトガルでは、ケイロス監督の取るべき対策も同じものではないだろう。
最大の注目選手はFWのアズムンだ。二次予選と最終予選を合わせ、14試合で11得点という驚異的な数字を記録しており、1チャンスでゴールネットを揺らせるシュート力は頼りになる。ロシアでの5年間のプレー経験も大きな助けになるはずだ。しかも、2試合目のスペイン戦は“お膝元”のカザンで行われることもあり活躍の期待は高い。
アズムンと並ぶ攻撃の主力が右ウィングでの起用がメインとなるアリレザ・ジャハンバフシュだ。ウィングに目の肥えたオランダの名門AZで主力を担う事実が能力の高さを証明している。豪快な突破からのクロスに加え、ワイドな位置からのミドルシュートは強力な“飛び道具”となる。今大会の活躍次第では4大リーグにジャンプアップを果たせるポテンシャルは十分にあるはずだ。
1トップでレギュラーを争うアズムン、アンサリファルド、グーチャンネジャドとは別に、イランには強力なストライカーがもう1人いる。左ウィングのメフディ・タレミ(ペルセポリス)だ。
イランリーグの2季連続得点王であり、今回の予選でもアズムンに次ぐ8得点を記録している。サイドでワイドのポストプレーや縦の仕掛けをこなしながら、機を見てゴール前に入り込み“もう1人のセンターFW”としてフィニッシュに迫力をもたらす。つまりサイドが起点でありながら中よりでの仕事が多く、特に純然たるSBの守備者には非常に厄介なアタッカーだ。
中盤で大きな可能性を秘めるのがロシアのアムカルに所属する21歳のエザトラヒ。アトレティコの下部組織で育ったMFは190cmの長身を利した迫力あるボール奪取からの正確なミドルパスでビッグチャンスの起点となる。ボールキープ力も高く、相手のプレッシャーをうまく引き付けながら周囲のスペースを使えるタイプの選手でもある。現在のイランで最も大きな成功が期待される若手の1人だ。
(文:河治良幸)
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