超アジア級のGKアリ・ベイランバンド
【イラン代表】
FIFAランキング:32位(2017年12月)
監督: カルロス・ケイロス(2011年~)
※2015年3月に辞任したが、同4月に再び就任
2大会連続5回目の出場
最高成績:グループリーグ敗退(1978年アルゼンチン大会、1998年フランス大会、2006年ドイツ大会、2014年ブラジル大会)
アジア最終予選グループA1位通過
抽選時のFIFAランクは32位(出場国中23位)で、アジア勢では唯一“ポット3”に入ったイランだが、優勝候補のポルトガル、スペイン、アフリカのモロッコと同じグループに入る結果となった。ほぼ同格と考えられるモロッコを上回ったとしても、欧州2ヶ国の一角を崩さなければ5回目の出場で初の決勝トーナメントに進出することはできない。
アルゼンチン、ナイジェリア、ボスニア・ヘルツェゴビナと同居し、奮闘むなしく1分2敗でグループリーグ敗退した4年前のブラジル大会時よりチーム力は着実に上がっており、何度か辞意を示唆しながら就任7年目で2度目のW杯を迎えるカルロス・ケイロス監督の存在も頼もしい。
中盤のプレッシングをベースに個人技とコンビネーションを織り交ぜた素早い仕掛けを武器に、最終予選は2試合を残して予選突破を決めた。そのまま本大会では通用しないだろうが、熟成された組織力はスペインやポルトガルとの勝負でも生命線となる。
[4-2-3-1]をメインに[4-3-2-1]なども用いるイラン。最終予選で10試合2失点という堅実なディフェンスを支えるのは守護神アリ・ベイランバンドだ。15年のアジア杯で初招集され瞬く間に定位置を奪った196cmのGKは超アジア級のハイスケールなセービングと大きさに似合わない機敏なフィールディングでベテランCBのジャラル・ホセイニ、ペイラバンドと同時期にA代表デビューしたモルテザ・プーラリガンジの背後を守る。
もともとの本職は左サイドハーフながらSBとして大成したエハサン・ハイサフィと推進力の高い右SBのラミン・レザイアンは攻撃センスを持ち味とするが、守備の献身性も高くライン際のマンツーマンで簡単に負けることはない。CBと両SBの状況に応じた上下動がイランのアグレッシブな攻撃とタイトな守備を両立させているのだ。
中盤はアリ・カリミとサイード・エザトラヒを中心に豊富な運動量とバランスワークで攻守のバランスワークを担う。攻撃陣はドリブラー、パサー、フィニッシャーと個性派揃いであり、特に前線はロシアのルビン・カザンで活躍するエース候補のサルダル・アズムンを筆頭に、ギリシャの名門オリンピアコスで主力を担うカリム・アンサリファルド、予選では不発気味だったものの本来は勝負所での決定力を秘めるレザ・グーチャンネジャドが揃う。
彼ら全員が並び立つケースは無いが、ケイロス監督が対戦相手や選手の状態を見極めながら起用していくことになりそうだ。