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青森山田MF郷家友太と長崎総附FW安藤瑞季、高めあうライバル同士の無二の友情

text by 編集部 photo by Getty Images

郷家友太
来季のヴィッセル神戸加入が内定しているMF郷家友太を擁する青森山田が高校選手権3回戦で敗退【写真:Getty Images】

 第96回全国高校サッカー選手権大会の3回戦が3日に行われ、長崎県代表の長崎総科大附属が1-0で前回王者の青森県代表・青森山田を下した。

 この試合で決勝点を奪った長崎総附のエースFW安藤瑞季には「もう意識しまくりで」と語る“ライバル”が、同じピッチ上にいた。青森山田の10番を背負うMF郷家友太である。

 2人は所属チームこそ違うものの、世代別代表でともにプレーした経験を持ち、ピッチ外では仲のいい友人関係。大会前も連絡を取り合い、お互いに「当たれたらいいね」と話していたという。

 そんな安藤と郷家の明暗は選手権ベスト16で分かれることとなった。「友太には仲がいいからこそ負けたくないというか、友太も言っていた通り、お互いどっちかが決めて試合に勝ちたいという気持ちは自分にもあった」と安藤は語る。

 実際に郷家は、2日の2回戦に勝利した後「意識している存在なので、安藤に決められずに、自分が決めて1-0で勝ちたい」と力強く宣言していた。しかし逆の結末に。安藤がゴールを決め、1-0で長崎総附が勝利を収めた。

 自らのゴールで青森山田の連覇を阻止する形となった安藤は、待ち望んでいた郷家との直接対決で決意を新たにしたようだった。流通経済大柏との準々決勝は累積警告により出場できないが、日本一への思いを一層強くしている。

「いままで一緒のチームで勝って笑っている姿しか見たことがなかったので、試合が終わって友太が泣いている姿を見たら、『絶対に負けちゃダメだな』という気持ちになった。だからこそこの舞台で一緒にサッカーできたのは本当に大きな財産かなと思います」

 一方の郷家は悔しさを噛み締めていた。「直接対決で安藤に仕事をされてしまって、1-0で負けるのはすごく悔しいし、逆に自分が(ゴールを)取って勝ちたかった気持ちが本当に強かったです」と“ライバル”と共有したピッチ上での90分間を振り返る。涙が枯れた後の目には力強さが戻っていた。

 高校サッカーでの直接対決はもう見られないが、2人の戦いの場はプロへと移り、これからも続いていく。新シーズンから安藤はセレッソ大阪、郷家はヴィッセル神戸への入団が内定しており、同じ関西のクラブで、そしてJ1の舞台で相見える機会もあるだろう。

「自分たちはまだ終わりじゃない。Jリーグでも、海外でも、代表でもやる機会はこれからもまだあると思うので、お互いレベルアップして、一緒に上を目指して、いい刺激を与える存在でいたいなと思います」

 そう話す安藤は「これから関西で一緒ですし、練習のない日に一緒にご飯に行けたら楽しいんじゃないかな」とも。2人のピッチ内で互いを高め合うライバル関係、そしてピッチ外でのかけがえのない友情はこれからも末長く続いていく。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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