優勝後は、何となく国立を後にしたくない気分に

　ひとしきり優勝の喜びを味わったあとは、「終わっちゃったな」っていう寂さがあって、何となく国立競技場を後にしたくない気分になった。祝勝会に向かうバスの中でも、チームメイトと笑ったりふざけ合ったりしていたかもしれないけど、みんな「これが最後」っていうのがどこか頭の片隅にあったんじゃないかな。

　新横浜のプリンスホテルでのパーティーでは、みんなサクサクと帰っていって「なんだ、冷たいな」って思ったのを覚えている。とはいえオレも家族が待っているし、実家に帰る予定もあったから、最後まで残らずに「お先に！」って感じだったような気がするな。

　今にして思えば、次のシーズンのことで頭がいっぱいだったかもしれない。初めての移籍だったし、レイソルの監督はニシさん（西野朗）だったし。それに、同じポジションには同級生で県選抜にもいた渡辺毅がいたし、ベルマーレ（平塚）からホン・ミョンボも移籍してくるのが決まっていたし。

　だから「4バックだと厳しいだろうな」って思っていた。そのままフリューゲルスでプレーするんだったら、ある程度ポジションは保証されていただろうけど、移籍したらゼロベースでポジションを勝ち取らないといけない。だからレイソルでの1年目は、かなりストレスを抱えながらプレーしていたよね。